一時的にこうした「品不足」が起こることはこれまでもしばしばありましたが、PS5の場合はそれがなかなか解消されません。
2021年度の出荷数は当初、PS4を上回る「1480万台以上」の計画を打ち出したものの、結局は1150万台と計画の約8割でした。理由は、他産業にも悪影響を及ぼすほどの世界的な半導体不足と流通の混乱です。2022年度の出荷計画は1800万台とさらなる増産を発表していますが、ロシアのウクライナ侵攻という悪条件も加わり、見通しは明るいとは言えません。
色々ふまえて考える「PS5は失敗ハード?」
なかなか増えない供給に追い打ちをかけるようなタイミングでの値上げですから、日本のユーザーの怒りはもっともです。他方で、PS5は失敗するという書き込みや、日本軽視を批判する記事までいってしまうとちょっとズレた話になってきます。
そもそも何を基準に「ハードが失敗した」とするかにもよりますが、ゲーム機の売れ行きが「成功」「失敗」の判断基準の一つとするなら、たしかになかなか供給できず市場を広げ切れていない現状では、「失敗」と言えそうに見えます。
しかし、よくよく考えると、もともとソニーのゲーム機は日本で苦戦傾向にあるという考えもできます。
ふりかえってみれば、PS4やPS3は、日本国内でPS2の半分程度(約1000万台)しか売れていません。PS2の国内出荷数である2000万台を「成功」とするなら、PS3やPS4の日本国内の評価は厳しくせざるを得ません。
ただ、PS4の世界出荷数は現時点で1億1700万台以上。PS2が同1億5000万台超で、WiiやニンテンドーDS、ニンテンドースイッチの例から考えても、この世界出荷数1億台突破の数字は十分に「成功」と言えるでしょう。
もちろん、PS3やニンテンドー3DSなど、善戦しながらも1億台に届かなかったゲーム機は、各メーカーの決算でも厳しい評価が下されていました。実のところ、PS3の苦戦を経験したソニーの経営陣からは、PS4の発売前、苦戦を覚悟する言葉も漏れていたほどです。