ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」が、9月15日から、1割程度(5500円)値上げになりました。

 世界的な物価高が背景で、他の商品も連日のように値上げが報じられており、情勢的に同情の声もありますが、2020年11月の発売からまもなく2年が迫ろうとしているのに、日本では店頭でお目にかかることはなく、品薄状態が続いている中での価格変更。ネットやメディアの記事では厳しい批判も散見されています。

実は「バーゲン価格」だったPS5とゲームハードの「値上げ」事情

 PS5は、8K対応の映像と、ロード(ゲームの読み込み時間)を飛躍的に短縮した家庭用ゲーム機です。弓矢を引き絞る感覚や、氷の上を滑る触感などを操作端末(コントローラー)の振動で表現し、PS4のソフトにも対応しました。

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PS5の未来には「赤信号」が……? ©iStock.com

 その一方、最も安いバージョンは、米国で約399ドル、日本では税抜きで3万9980円。当初は7万円弱という予想もあったほど、ゲームファンや関係者の想定はもっと高額でした。性能から比較すると「赤字価格」とさえ思える金額からも、最初から力の入れようが窺える登場だったと言えるでしょう。

 今回、この金額が上がったわけですが、そもそも論でいえば、ゲーム機の業界において「値上げ」はレアケースです。

 人気のゲーム機は量産効果が見込め、値下げするのも当たり前。不人気のゲーム機も、買ってもらうため値下げをすることがしばしば。下がる方向の要因はたくさんあれど、ゲーム機は値上げとは“無縁の世界”でしたから、とりわけ日本市場では“ハレーション”も起こっています。

 今回の「値上げ」について、日本のゲームファンの“怒りの声”をまとめると、「値上げの理由は理解できるものの、買うチャンスもないまま値上げの形になったことに納得がいかない」といったところでしょうか。もっと強く、「欲しい人が買えないままハードが値上げした、これではソフトも売れない。PS5は“失敗ハードだ”」という論調まで出ています。