昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「絶滅すれば、ほかの生物も絶滅する」「新薬開発にも役立つ」ゴキブリ嫌いの人間が見落とす“彼らの存在意義”

ゴキブリスト・柳澤静磨とは何者か? #2

 35年ぶりに日本産ゴキブリの新種を発表したという、新進気鋭のゴキブリ研究者・柳澤静磨さん。

 インタビュー2回目となる今回は、知ってためになる……かどうかはわからないが、ゴキブリにまつわる雑学を教えてもらった。

 ゴキブリの新たな側面を知ることで、今までと少し見える世界が変わってくるかもしれない……。(全3回の2回目/#1#3を読む)

キノコ類を食べるツチゴキブリの仲間(写真:柳澤さん提供)

◆◆◆

「ゴキブリの絶滅」は避けるべき事態

――昆虫館で「ゴキブリスト」を名乗っていらっしゃる柳澤さん。ゴキブリを怖がる人たちが知っておいたほうがいい情報はありますか?

柳澤静磨さん(以下、柳澤) ゴキブリは絶滅しろ! など思う人もいると思いますが、そういう方には、ゴキブリの役割を知っていただきたいですね。

 ゴキブリは、自然と人間の生活を支えてくれている昆虫です。生態系の中で「分解者」としての役目を担っています。雑食性なので、落ち葉や朽ち木、動物のフン、菌類を食べ、それを土に還している。いわば、森の新陳代謝に役立っているのです。

ゴキブリは生態系を支える分解者。朽ち木内のオオゴキブリ(写真:柳澤さん提供)

 分解者がいなければ、森は落ち葉や朽ち木だらけになってしまい、新たな植物が芽吹きにくくなります。さらに植物の種子散布にもひと役買っています。ギンリョウソウという植物は、モリチャバネゴキブリなどに果実を食べてもらい、種子がフンとして排出されることで散布できているんです。

 また、ゴキブリが他の生き物の食料になっていることもありますので、ゴキブリが絶滅すればそれらの生き物もまた、生きられなくなるでしょう。ゴキブリはなんの役にたつのか?といった話を入り口に、生態系の大切さもぜひ知っていただきたいですね。

z