昨年8月、東京メトロ・白金高輪駅で、会社員の男性が硫酸をかけられ重症を負った事件。傷害等の容疑で起訴された花森弘卓被告(26)の初公判が9月20日に行なわれ、出廷した花森被告は「間違いないです」と起訴事実を認めた。

 花森被告と被害者男性は、大学のサークルで先輩・後輩の間柄だったという。何が花森被告を残忍な犯行へと駆り立てたのか。事件の背景を追った当時の記事を再公開する(初出:2021年8月29日、年齢、肩書等は当時のまま)。

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 東京の高級住宅地・白金での“硫酸事件”で、静岡市葵区に住む大学生の花森弘卓(ひろたか)容疑者(25)が8月28日に沖縄県内で逮捕された。30日午前8時過ぎ、検察庁に身柄を送致されている。

「顔を隠すことなく悠々と歩いていた花森ですが、警察の取調べに『今は話したくない』と認否を留保。いっぽう硫酸をかけられた被害者で、琉球大学時代のサークルの後輩であるAさんは花森とさほど親しい間柄ではなく、過去『タメ口をきいたことでトラブルになった』とも警察に話しており、Aさんは一方的な恨みを買ったとみられている」(社会部記者)

検察庁に身柄を送致される花森容疑者 Ⓒ文藝春秋 撮影・上田康太郎

 高校時代に1度留年し年下と関係を築くことにも馴れていたはずの花森だが、Aさんには執拗に執着した。Aさんの職場を丹念に割り出し、今年7月にも赤坂見附駅からAさんにつきまとい「バカにしてたよな」と凄んだこともあった。

19歳で好意を寄せた黒髪の少女

 執着心の果てに凶行に及んだ花森だが、過去にも粘着質なストーカー行為をしていたことが「文春オンライン特集班」の取材でわかった。

 花森は高校時代「2次元しか愛せない」と同級生に語り(#3参照)、2年ほど前から通う行きつけの喫茶店店主には「彼女作るのは無理だとおもう」「僕の彼女は宇宙人しかいないかな」と語っていた(#2参照)。

高校時代は生徒会役員だった花森容疑者

 恋愛に奥手だった花森だが、実は19歳だった高校3年生の夏、予備校内で私立女子高に通う1人の女子高生B子さんに好意を持っていたという。しかし花森のB子さんに対する求愛行為の異様さに周囲は驚いていた。

「B子は黒髪ロングが似合う和風美女で、女子校に通う上品なお嬢様タイプでした。一方の花森は当時から巨漢に無精ひげでB子さんから“クマ”と呼ばれていました。高3だった2015年の夏に"陽キャ”な同級生を通じてB子と話したのをきっかけに彼女にドハマリ。周囲の目も気にせず廊下の真ん中で前のめりでB子さんに必死に話しかけていました。B子の第一志望が静岡大だと知ると、花森も同じ静岡大志望と先生に報告していましたね」(予備校の友人)