演じることを切れ目なく続けてたら、自分が空っぽに
水野 ずっと目の前のことに必死で、求められるものに合わせて演じることを切れ目なく続けてたら、自分が空っぽになった感じがあって。「自分の人生じゃない人生」みたいな気がしてきていたので、これはマズいのではと思っていました。
そんな30歳直前のある休日、前日に深酒して昼くらいにリビングで目が覚めたことがありました。その瞬間にふと、「子持ちの友だちは朝の5時から起きて、今まさに命を育ててるんだよな」と思ったら、猛烈になにかしなきゃいけない思いに駆られたんです。そこから演劇にのめり込んで、作品を生み出すことに心血を注ぐようになったんですけど。
――その演劇の世界で、現在のパートナーである唐橋さんに出会ったそうで。
水野 交際0ヵ月で籍を入れました。お互い40歳前後で、ここで結婚しなかったらもう一生しなそうだな、と思ってそのままいってしまったという感じです。
――交際0ヵ月で結婚できたというのは、やはり会ったときからしっくりきたからでしょうか。
水野 彼の舞台を見たのが最初の出会いでしたが、「なんて素敵な役者だろう」とびっくりして。役者としての才能に惚れたんです。そうやってひとつでも尊敬できるところがあったら結婚しても大丈夫、となにかの本で読んだことがあったので、じゃあいけるかなって(笑)。
仕事のパートナーとしては「やりにくい(笑)」
――ニュースサイト「AERA dot.(アエラドット)」の連載をまとめた『水野美紀の子育て奮闘記 余力ゼロで生きてます。』シリーズでは、唐橋さんがイラストレーターとして挿絵を担当されています。仕事のパートナーとしてはどうですか。
水野 やりにくいです(笑)。彼はめちゃくちゃこだわるから、毎回徹夜して描いていました。私の原稿をもとに唐橋がイラストに取り掛かることもあり、締切前になると無言の圧がかかってきますし。
そういえば「AERA dot.で連載やってるのにイラストのオファーが全然こない」と一時期落ち込んでいました(笑)。