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「新庄観に行こうぜ」札幌ドームの19年間はファイターズが道民に根付いた歴史だった

文春野球コラム クライマックスシリーズ2022

2022/10/14
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暮らしのなかにファイターズ

 2006年の日本一には街中が歓喜。周囲にもファンが一気に増えていったね。街角には選手の幟やポスターなどをあちこち見かけるようになった。普段は野球の話をしない人も、SNSでドーム観戦の写真をアップしている人も見かけるようになっていった。もちろん熱心なファンもあの頃とは比較にならないくらい増えているね。

 連れ合いと居酒屋で「あのプレーはよかった」「あそこで一本出ていたら」などと日ハム話に花を咲かせているときに、隣の席からも同じように「上沢がさー」「今日の試合はさー」という声が聞こえてきて、思わず目を合わせて反応してしまうなんてこともよくあることだ。あれからの月日のなかで、日本ハムというチームが道民の生活のなかに根付いていったんだなあ。

 初観戦で「ダルビッシュ観に行こうぜ」「大谷、生で観たくない?」と誘われた人もいるんじゃないかな。優勝争いを観ているうちに引き込まれていった人もいるだろうね。初観戦はどうだったか、どういうきっかけでファンになったのか、一人ひとりインタビューしたら面白いだろうな。

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 再び今年の本拠地最終戦。セレモニーでは球場のモニターから、札幌ドームの19年を振り返る映像が流された。あの日の熱戦。あのときのプレー。歓喜や感動。あの頃を飾った選手たち。札幌ドームの19年の歴史は、道民にとって「おらがまちのファイターズ」が徐々に生活のなかに溶け込んでいき、日々を彩ってくれた歴史でもあるのだなぁ。ドームに集った満員の観衆のなかで、ふとあの名言のことを思い出した。

「プロ野球の存在意義は、その街の人々の暮らしが少し彩られたり、単調な生活がちょっとだけ豊かになることに他ならない」(新庄剛志)

 北広島に移転しても、ファイターズが私たちの生活のなかにあることは変わらない。進めファイターズひとすじに。

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