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「これはえらいことになった…」衣笠祥雄さんも恥ずかしがった”赤”はなぜカープの色になったのか

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/09/23
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 さらにここ10数年は、ビジターユニフォームで応援する人が増え、スタンドが真っ赤に染まり、ヒーローインタビューをする選手たちも、口々にそのことを言って喜んでくれています。もしこれが赤じゃなかったらどうなります? 青だったらどうします? 野村さんは「真っ青に染まったスタンドを見てみたい」とは言わなかったでしょう。さらに「青ヘル軍団」という呼び方もされなかったでしょう。そうなんです、もう、どう考えても「赤ありき」なのです。

 情熱の色、戦う色、攻撃的な色。別に他の色をチームカラーにしている球団をバカにしているワケではありません。赤という色が、それだけ特別で、最高の色であると言いたいのです。たとえば青を基調にしているチームはその色が濃くなったり薄くなったりと微妙に変化をしていますが、カープは一貫して赤。不動の色。むしろ「赤くないカープ」なんて想像できません。たとえば青、あるいはオ、オ、オレ、オレンジとか……。

2008年、真っ赤に染まる旧市民球場 ©ガル憎

ペプシではなくコカ・コーラを…

 ちなみに、カープファンになると身の回りにも赤が増えませんか? 自分の場合は、時計。G-SHOCKを愛用しているのですが、黒ばかり買っていたのに赤も買ってしまいました。財布も赤です。スニーカーなどを買う時も、赤、あるいは赤がワンポイントで入っているものを買います。IQOS(アイコス)も赤です。コーラが飲みたくなったら、ペプシではなくコカ・コーラを買ってしまいます。テレビの占いなどで「好きな色を選んでください」と言われれば赤を選ぶし、逆に「この中からピンと来た色を選んでください」と言われても、ピンと来るという脳の反応より先に赤を選んでしまいます。

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 というように、我々は完全に「赤」に魅了されているのです。でも、他の色だったらそこまでこだわってないような気もします。統計を取ってないので断言はできませんが、全12球団のファンに「自分の応援しているチームカラーのものをどれくらい選びますか?」と聞いても、おそらくカープの「赤」が1位になるでしょう。そう、とにかく赤は「映える」のです。かつてブームになった「カープ女子」。彼女たちもまた、赤という色に惹かれた、ファッション的にも「映える」。そういう要素もあったと思います。

 そう考えるともう、私はルーツ監督に感謝してもしきれないし、足を向けて眠ることができません。もしあの時、つまり1975年にルーツ監督が赤を取り入れてなかったら、どこか他の球団が取り入れていたかもしれない。当時は奇抜だったかもしれませんが、やがてチームカラーの多様化の時代が来て、必ず赤が採用されていたと思うのです。ああ良かった、カープが先駆けで。この素晴らしき色が私たちのもので(たまにロッテが赤くなりますが……)。

 というワケで皆さん。14年前に天国に旅立った大恩人・ルーツ監督が我々に与えてくれた最高の色。これからも誇りに思い、身にまとい、情熱の真っ赤なバラを胸に咲かせ続けましょう。

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