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ボードメンバーは演説でも常に笑顔

 この参院選で、参政党は「マスク着用の自由化」「ワクチン政策の是正と救済策」も掲げていた。コアな支援者層をたずねると、党のボードメンバーである赤尾由美はこう分析した。

「私たちは反グローバルを訴える政党です。しかし、その主張よりも、お注射(ワクチン接種)や流行り病(新型コロナ)、マスクをきっかけにたどり着いた人が多いと思います。党員の4割が女性というのも特徴だと思います」

 赤尾は週に4回、地元でバレエのレッスンに通っているという。演説でも常に笑顔で物腰も柔らかい。政治家によく見られる「壁」や威圧感はまったくない。

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新宿で街頭演説する赤尾由美氏(筆者提供)

YouTubeで参政党の存在を知ったという人も

「これまで政治を諦めていたり、関心がなかったりした『迷子の人たち』が2年半のコロナ騒動であぶり出されたのではないでしょうか」(赤尾) 

 実際に筆者が一般党員に話を聞くと、こんな声が聞こえてきた。

「職場の人たちは『コロナ脳』なので、自分が参政党の党員であることは明かしていません。参政党の魅力は、やっぱり国民運動であることですね。誰でも参加できるところだと思います」(50代女性・既婚・息子2人・一般党員)

「コロナ禍で日本が衰退していくことや、ワクチンの被害を食い止めることができるのは参政党だけだと思いました。参政党支持だと話したら、関係を切られた友人もいます。だから親には話しません」(40代女性・独身・一般党員)

 街頭演説の現場にいる女性は30~50代で、食や健康に関心がある子育て世代も多い。子どもが小学校でマスクを強要されていることに悩む母親もいた。子どもへのワクチン接種が心配で情報を調べるうち、YouTubeで参政党の存在を知ったという女性もいた。

7月9日のマイク納め式には1万500人が集まった(筆者提供)

 予祝パーティーに参加した70代の女性も「息子のお嫁さんに参政党を薦めてもちょっとね……」と言いながらも、「でも、甘いものを食べていた子どもたち家族はコロナにかかって、私の家で昼と夜を食べていた息子はコロナにならなかったのよ」と明かした。

 各支部では「ぬか床づくり」などの食にまつわるイベントも行われており、間口は広い。身近に参政党支持者がいる可能性は低くない。

(文中敬称略)

※陰謀論や反ワクチン思考が“ゆるふわオーガニック”と揶揄されながらも、保守の周縁から存在感を増していった背景や、キムタクの母も応援動画に出演するなど、参政党が女性たちの支持を集めた様子、そして党副代表の神谷宗幣のインタビューの内容は、『週刊文春WOMAN2022秋号』に掲載しています。