地方クラブの発展が地域の発展につながる
野々村 サッカーの魅力自体が下がっているわけではないんです。もっと多くの情報を届ける必要もあるし、そのために使えるものはたくさん使っていくほうがいいと思っています。
そういった意味で、Jリーグの58クラブがどう露出するかについては、まだまだやれることが多いと思います。いろいろな理由からですが、サッカーの試合をテレビの地上波で見ることができなくなりつつある現状があるけど、もっと増えるようにするにはどうしたらいいのか考えたほうがいい。地方はテレビの力が都会に比べて強いですから、試合だけではなくて、各地域のクラブや選手の取り組みも含めてメディアに取り上げてもらえるようにする必要がある。
もう一度、地域のメディアの方々も含めて各クラブを成長させる、これはメディアの側からみてプラスになるはずです。各地域でその取り組みを進められるような仕組みをできないかと思っていて。行政もメディアも地域のパートナー企業も含め、サッカーが地域の中心になる可能性は結構あると思います。
すでに地域の中心にサッカースタジアムを含めた複合施設ができて、その地域のシンボルになる、といった事例も出てきました。サッカーを中心に据えると、その周囲には多様な方々が集まってくるものだから、その地域の“色”が出やすいわけです。
50年後、100年後、今回のコロナ禍のようなことが起きた時、みんなでどういう方向に進むのか世の中が迷った時に、サッカークラブがイニシアチブを取るみたいなことが日本で起こるといいなと思っています。
“仲間”をどれだけ増やせるかで将来は変わる
――野々村さんはコンサ社長時代から“仲間づくり”の必要性を強調しています。
野々村 どうサッカーを広め、クラブの知名度を広めるかということで、ローカルでメディアを巻き込む必要性があると思いますが、それをやっていくと、メディアの中にいる、ディレクターや制作の人に、コンサが好きな人がどんどん増えていくと思うんです。そういう人を広い意味でサッカーの“仲間”として、どれだけ全国に増やしていくか。これは将来にも絶対つながっていくと思います。
鈴井 すごいミニマムな話ですが、僕は普段赤平市に住んでいますが、コンサにかかわることになったので、正式なものではないけど「赤平コンサドーレ会」をつくろう、という話があって。メンバーは数人ですが、月に1度くらい集まってレプリカユニフォームを買って、それを着ながら試合を見てみんなでお酒を飲むという。そうすると「役所のあの人がコンサの熱烈なファンなんだって」みたいな話が出てくる。じゃあ次はその人も呼ぼうよ、というネットワークができていきますよね。
これは小さなまちの話ですが、今までは「誰がコンサが好きなのか」なんて話題にも上ってなかったけど、きっかけ1つでそれが波紋のように広がっていく。これを地道にやっていったら最終的には勝ちだなと思いますし、50年後、100年後の姿がそれなのかなと思うんです。
野々村 本当にそう思いますね。