子どもが夢に出てきて眠れず、睡眠薬を服用
度重なる進藤牧師の伝道で、田中被告は徐々に変わっていったという。9月20日から始まる裁判で、進藤牧師は情状証人として法廷に立つ予定だ。
「情状証人はこれまでも4、5回やっていますが、このような大きな罪を犯した人間の証人をするのは初めてです。でも、彼がクリスチャンとして新しい人生を歩み始め変わってきたから、俺なんかでできることはやってもいいかなって思っています。
娑婆で楽なことばかりしてきた涼二みたいな奴はなかなか変われません。でも彼なりにヤクザを辞めて人生をやり直そうとしていた結果が子殺しという悲しい事件なんです。文春さんの記事にもありましたが、あいつは見本となる親を知らなかった。そんな中でやり直そうと頑張っていたんです」
田中被告は進藤牧師に「子供のことが夢にでて眠れないから、睡眠薬を飲んでいる」などとも明かしたという。
「とある本では殺人犯の9割は反省していないと書かれていました。さまざまな受刑者とやりとりを重ねる中で確かにそうなんだろうなと思っています。でも、刑務所に入った以上は心が変わらなきゃ意味がありません。有期刑だって無期だって死刑だって一緒です。本当に難しいことですが、それができる可能性が今の涼二にはあると思っています」
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「どんな罪でも受け入れるが、死刑は正直怖い」
一方、記者との面会で田中被告は、9月20日からの裁判で基本的に罪を認める方針だと話した。ただ、昨年夏のインタビューでは、「死刑でも受け入れる」と話していたが、その心境に変化はあるようだ。
「正直、怖いという思いです。死に繋がるのか、生きて懲役になるのか。どんな罪でも受け入れるつもりではあります。しかし、今は生きてしっかりと償いたいと思っています。
私がやったことはすべて認めます。ただ大翔の死因については事件当時に警察が発表したように病気の可能性があって、元妻の供述調書も違う部分がある。そういった部分については弁護士の先生が争ってくれるようです。自分としては子供達は帰ってこないので、という思いもありますが…」
田中被告は、約20年前、婚姻関係にあった“太宰府主婦ホスト漬け傷害致死事件”の主犯、山本美幸被告(懲役22年が確定)とともに200万円を恐喝したり、覚醒剤を使用したりして、複数回の服役を経験している(#4を読む)。そのような前科持ちであるうえでの子供たちへの殺人、傷害致死事件のため、罪は重くなる可能性が高い。
裁判で田中被告の口から何が語られるのか、そして子供を殺害するという許しがたい罪を犯した田中被告を裁判員はどう裁くのか、注目が集まる。