被害女性の母親や姉もだまされた迫真の演技
A子さんは預金を使い果たし、消費者金融からも借金した。A子さんが金銭に困窮し、「母や姉に相談する」と言うと、「結婚を反対されるかもしれないからやめて」と言いながら、「1セット27万円の未承認薬に切り替えることになった。金を貸してほしい」などと言って、さらにA子さんを追い込んだ。
7月にはA子さんの母親や姉を交えて話し合いをすることになり、河野はここでも迫真の演技でA子さんの母親や姉を欺いた。
「財布の盗難に遭い、主に生活費のために同棲することになった。税金の支払いと白血病の治療費としてA子さんから金を借りているが、保険が下りたら全額返す。A子さんのことは私が必ず幸せにします。仕事面の金銭の動きを一任している社労士を代理人に立て、A子さんの口座に全額振り込むように手続きを進めさせている」
コロナに感染、心配で救急車を呼ぼうとしたが…
こうしてA子さんの母親や姉からも援助を受けることになった。金を受け取った河野はゲイバーやガールズバー、おっぱいパブなどで散財していた。こうした夜遊びがたたったのか、8月に河野は新型コロナウィルスに感染した。
「このとき、私は白血病という基礎疾患のある河野のことが心配でたまらず、救急車を呼ぼうとしたのですが、河野は嫌だ、嫌だと泣きわめいて、私から電話を取り上げてまで、私が119番通報をすることを阻止しました。
今考えれば、河野は救急車を呼ばれたら、白血病のウソがばれて、私からお金を取れなくなってしまうことから、必死に通報を阻止していたのでしょう。その数日後、私も新型コロナウィルスに感染しましたが、そんな私を置いて、急に家から出て行ってしまいました」(A子さん)
11月になり、河野は「退院した」と言って帰ってきた。だが、この日からまた治療費をねだられ、「コロナのせいで身体が弱ってしまったから、さらに薬の濃度を高めないと危険だ」などと話し、A子さんには休日に副業することを提案した。A子さんは治療費と生活費の捻出のため、働きづめに働いた。その間、河野は「身体が辛いから働けない」などと言って、コンビニで好きなものを買って食べながら一日中家でゲームをしていた。
A子さんは、次第に不信感を募らせていく――。
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