貸した車が時速200km超で爆走
利用料を払っているとはいえ、他人の車を扱う以上、借主側には然るべき配慮が求められる。けれども現実には、「他人の車なのだから好きに使ってやろう」と振る舞う利用者もいるようだ。
Bさんは、遠隔状態でも車両状態を確認したり、各種設定を変更したりできるアプリを貸出車両に搭載していたが、そこに表示された情報に度肝を抜かれてしまった。
「貸出中、高速道路を時速200kmオーバーで走行しているデータが表示されたんです。驚いて、遠隔操作で最高速度を制限したのですが、その後も制限いっぱいの速度を出し続けていたようです。
気づいてすぐに該当区域の警察署には連絡を入れました。ですが、『オービスなどで実際に検挙されない限り、対処のしようがない』と回答されました。
その後、借主に対してもメッセージ上で速度違反をやめるよう注意したものの、まったく悪びれないどころか、速度の制限を外せという旨の返信が返ってきました」
利用中に借主との間で行われたやり取りを見ると、速度超過を控えるよう呼びかける貸主に対し、借主は「明日は広い公園で加速を試したいので速度制限を外してほしい」といった要求を繰り返している。さらに、「制限がかかるとは聞いていない」「話が違う」といった身勝手な主張も見られ、貸主の苦労が窺える文面となっている。
なお、Bさんはその後、上述の行為を利用規約に対する違反として運営会社に報告するが、返ってきたのは「実際に検挙されていない以上、事実として認定することはできない」という主旨の返事だった。また借主に対する処分の有無についても、個人情報保護の観点から開示できないと返答され、相手にペナルティがあったのかはわからずに終わったという。
そもそもこのケースにおいて、Bさんが借主の常軌を逸した行動を把握できたのは、上述の車両管理アプリによるものである。そうした装置がなければ、警察の取り締まりを受けない限り、危険な運転を繰り返すドライバーが野放しにされかねないわけだ。
身に覚えのない傷への賠償請求
個人間での取引に限らず、レンタカーやカーシェアにおいては「車のキズがもともとあったものか」をめぐるトラブルが生じやすい。事前に車両状態を確認するとはいっても、車のまわりを一周する程度で済ませることがほとんどだ。運営会社によっては、出発前にスマートフォンで車両の写真を撮影し、アプリ上に保存しておくシステムを採用している例もあるが、それでも細かい傷や目の届きにくい箇所の傷までチェックが及ばない可能性は十分に考えられる。