オランダ風建物と特車二課の併存
いや、そりゃ夜景とか超綺麗ですよ。壮麗な街並みとか最高です。でも、入園パスポートを買って、この壮大なオランダの街並みを楽しもうかと思うとゴンドラ乗るのに1000円取られる。いきなり金取るのかよ。でもまあいい、リラックスしてオランダ感を満喫しようかと思うと、そのオランダ風の建物に映し出される「太鼓の達人」のプロジェクションマッピング。館内にはBGMとしてカーペンターズが鳴り響き、ホラーゾーンでは女性の甲高い悲鳴が、そしてコンテンツゾーンには実物大の「パトレイバー」と特車二課の展示物が。さらに、パレスハウステンボスでは再び入場料を取られ、大画面釣りゲームでは初回のみ無料で2回目以降金を取られ、中央でコンサートをやっていたかと思えばサイン会からのCD購入の呼び込みアナウンスがなされて金を取られる。
なんでこう、都度都度カネを全力で取りに来るんですかね。少しでも夜景を楽しもうと観覧車に乗ろうとすると、大人も子供も同料金一周600円也。美麗な青色LEDが敷き詰められた場所に組まれた櫓のうえで一杯やろうとすると1000円也。輝く変なドラゴンに乗ろうとして800円、写真を撮ろうとして1000円。もうね、ハウステンボス全体が山本家の財布に果敢な挑戦に来てるだろ。試されているんだ、金銭感覚が。
さらに敷地内にはJRAの運営するWINS佐世保が。オランダ風の街並みの真ん中で繰り広げられる迫力ある競馬中継。B級感溢れるパレード。アドベンチャーパークの入り口で咆哮し続ける恐竜。オランダどこ行ったんだよ。
そして、ハウステンボスは超閑散としているのです。広すぎて。客は入ってるんだろうけど、みんなどこに行っていいのか良く分からないのでひたすら分散し、賑わいという概念がさほど存在しない。そう遅くない時間帯のイルミネーションを見るために人が集まることはあっても、1本通りを隔てたチーズの城まで来ると途端に過疎地帯。あったかグルメフェアとか、風景からしてすでに寒いわけであります。冷えるからホテルのレストランに入って食事してて、トイレに行こうとすると屋外の便所を案内される素敵仕様まであります。あのさあ、外は寒いからホテルのレストラン入ったんですけど。このテーマパークは財布だけでなく精神まで試しにくる感じですかね? 運河沿いのバーベキューテラスも異様に食器が汚くて食べる気が起きないとか、ロボット以前の状況にあるわけなんですよ。
ロボットへの投資は、人件費削減路線だけではない
とにかくハウステンボスはだだっ広い代償として、大量の飲食店が各所に配置され、どこもかしこも閑古鳥が大コーラス状態になっているのが懸案なわけです。その点では、大量にある客のいない店舗、そこに配置される大量の長崎県民、毎日無駄になり続ける食材、この強烈な回転率の悪さを見れば、澤田社長ならずともロボットに置き換えたほうがなんぼか幸せになれるんじゃないかと思っても不思議はないのです。
もしも本当に多額の投資をハウステンボスにするぞとなれば、ロボット以前に投資するべきものはたくさんあるように思います。ハウステンボス内のぼこぼこ道を4人乗りの自転車で爆走するババアの集団がハンドルさばきを間違えて側溝や植え込みに突っ込んで立ち往生しているさまを見るにつけ、コンテンツの大事さというものをひしひしと感じるのです。家内と結婚前にやってきたハウステンボスで観た「愛・地球博」のコンテンツ使い回しや、オランダの洪水を追体験できるアトラクション。あれ、10年前からずっと同じ位置で営業していませんかね。零度になろうかというクソ寒い屋外で猛プッシュされている高品質なソフトクリーム。来場する客数に見合わない大量の飲食店、誰も座っていない椅子、ヒマと戦い続ける可哀想な長崎県民店員。反原発活動家が憤死しかねない壮大な無駄が広がっているんですよ、このテーマパークには。
拙宅の子供たちにとっては、大きな風船型遊具のある「ふわふわランド」さえあれば大丈夫なんですけど、事故でもあったのか、楽しそうな遊具が幾つか無くなり、年齢制限がかけられてしまって三男が遊べなくなって不満顔です。17年夏にはバンジージャンプのワイヤが切れたりしたようですが、ハウステンボスには単にロボットで人件費削減という見方ではなく、最先端技術とテーマパークの融合みたいな路線でちゃんとコンセプトを仕切り直し、古いコンテンツの入れ替えや飲食店・長崎県民スタッフの需要と供給のバランスを考えた運営をしてほしいよなあと訪れるたびに思うわけであります。
肝心の澤田社長、しばらくどっか行ってていないらしいけど。
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HIS社長、格安? 一人旅へ 3-6カ月世界巡る 「刺激受けたい」「部下が育つ」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/383471