昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「IOCは『汚職事件があった国では開催できない』と言うべき」東京オリンピックで露呈したスポーツ界の“悪しき体質”

堂場瞬一さん、山口香さん特別対談 #2

source : 文藝出版局

genre : エンタメ, 社会, スポーツ

 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件が発覚し、大会組織委員会の元理事、大会スポンサー、関連する広告代理店から逮捕者が続出している。スポーツ小説の名手・堂場瞬一さんと、JOCの理事を務めた山口香さんが、前代未聞の「五輪汚職」の再発防止について、語り合った。(全2回の2回目/最初から読む

◆◆◆

IOCは「汚職事件があった国ではオリンピックはできません」というべき

堂場 この汚職問題が解決していない段階でも、札幌市は、2030年の冬季五輪・パラリンピックを誘致しようとしています。東京五輪にかかわった人たちが、誰も責任をとっていないのに、私には信じられません。

山口 IOCは「汚職事件があった国ではオリンピックはできません」というべきです。再発を防止するなんて言っていますが、検証もできていないのに、再発防止なんてできるわけがない。

(左から)山口香さん、堂場瞬一さん

堂場 9月のIOCの総会でも、汚職事件に関しては触れられていなかった。結局、彼らも「ばれないようにうまくやれよ」というスタンスなのではないでしょうか。スポーツ界の現状は、とても腐敗していると感じています。

山口 声の大きい人を止めることができないスポーツ界の、社会全体の悪しき体質が顕著になったとも言えますね。高橋元理事のやったことは、ばれずに成功したら、それがグレーと評価され、逮捕されたら、やっぱりブラックだったとされる。読者のみなさんの組織にも、こういった事例があると思います。そんなとき、「これはダメです」とブレーキを掛けられるのが、組織のガバナンス。それがあまりにもなかった。

人口減少社会で、老害を防ぐためには?

堂場 スポンサーの2社では、それぞれの会長が逮捕されています。「上の人が間違ったことに走っているときに止められない」のは、「老害」ですね。

 

山口 これから人口も減少し、若い人が少なくなるなかで、上の人が若手を押さえつけて、「俺のやっていることが正しいからついてこい」なんてやっていたら、その組織、業界、この国は先細りしてしまう。今回の東京五輪をめぐる汚職事件が、ターニングポイントとなってほしい。希望的観測が過ぎますかね。

堂場 方法はありますよ。思い切って、45歳定年を導入することですね。定年といっても、45歳で役職を退任するということです。古い世代が意思決定にかかわることはなくなる……。やっぱり無理ですかね(笑)。

山口 実はスポーツの世界は、それを可視化しているんです。20年競技を続けているベテランだからといって、オリンピックに出られるわけではない。特別枠はないですから。いいプレーをしたら、たとえそれがどんなに若いアスリートでも賞賛が集まる。私は将棋の世界からも、学ぶことがあると思っているんです。対局して負けたら、相手が年下でも、みんなの前で、「参りました」という言葉を発する。これはすごいことだと思います。