同様に、Googleが手がけたYouTube他サービスにおいても、その大多数は問題ない動画である一方で、残念ながら劣悪なガセネタや陰謀論を唱える問題あるチャンネルが多数存在し、お世辞にも正しい情報が流れる空間とは言いづらい状況が続いています。民族主義者から反ワクチン、共産主義者まで、言論の自由を謳歌できるのは素晴らしい一方、何をもって有害なコンテンツとするかという問題をGoogleやTwitterなど民間企業が担うむつかしさはトランプさんのアメリカも日本も同じです。
前述のケンブリッジ・アナリティカ問題においては、当時FacebookのCEOであったザッカーバーグさんが議会上下院での証言に追い込まれ、2015年以前の問題について公式に認めて謝罪していますが、その裏側では、世界で1万人を超えるアクセンチュア社の従業員・関係者が、児童ポルノや薬物売買を含む違法なコンテンツの削除に追われています。そこには、フェイクニュース対策という意味では「古田さん以下、知見のある人が集まってきて一個一個検証し判定する」という下部構造とはまったく異なる世界観をどう見るかが大事になります。
インターネット上の秩序を回復させるための抜本的な対策を
ヤフーもLINEとの経営統合でZホールディングスとなって実質的に資本面では外資系企業となり、また、Googleもごく最近日本で会社法上の法人登記をしたばかりの状態です。日本のニュースやCGM的なコンテンツが総じて日本国外の資本に担われているなか、古田さんのJFCは彼らの対策してる感を醸し出すためのアリバイにしかなっていない点に問題があるのではないかとも思います。
それゆえに、総務省のプラットフォームサービスに関する研究会が取り組むべき事案とは、プラットフォーム事業者に不適切な情報の流通を停止させるための手法を提案させ、有効な対策が打てるような法律を整備し、インターネット上の秩序を回復させるための抜本的な対策をどう方向づけるのかに尽きるのではないでしょうか。
ようやく総務省とプラットフォーム事業者による共同規制の枠組みが検討され始めています。しかし、万が一、今回のJFCでは物事の改善が見られないようであれば、アメリカや欧州のように日本でビジネスをしているプラットフォーム事業者に対して懲罰的罰金を仕込むぐらいの勢いで強制的にガセネタ対策や誹謗中傷対策を義務付けるか、日本で展開する個人に関する情報に紐づくサービスはすべて日本で参照できるデータセンターを置けるようにするかぐらいしか方法がなくなってしまいます。
いまや、日本政府・霞が関や桜田門よりも、はるかにこれらのプラットフォーム事業者や通信事業者のほうが、国民に関する情報を持っています。役所の劣化というよりは、有識者会議を繰り返してもいま起きている問題の認識そのものがしづらい状況のなかで、関係者は目隠しされたまま何となく手探りでガイドラインを作ったり、新しい法律作りのために官邸や与党議員の皆さんと話し合いをしなければならない状況に追い込まれているようにも感じられます。
これ、文字通り「本当に国民が必要だったもの」という寓話に直結すると思うんですよね。関係者おのおのは、ヤフーもGoogleもおそらくみんな善意であるにも関わらず。