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「日本ファクトチェックセンター」が設立されても変わらない“日本語圏インターネット”の世情

「日本ファクトチェックセンター」が設立されても変わらない“日本語圏インターネット”の世情

2022/10/12
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 ネットで流れるゴミ情報の真偽を糺す日本ファクトチェックセンター(以下、JFC)が開設された! ということで、一部のネット民が「お前らに流れてる情報の吟味なんぞされたくねえよ」と騒ぐ事件がありました。

 とりわけ、ネットニュース界隈や、記事のネット配信に企業生命がかかるスポーツ紙系の媒体も含め、ついに来たか的反響が出ていたのが印象的です。というのも、かねて大手全国紙記者やジャーナリストの間では、以前から「ヤフーが主体となってファクトチェックをやる計画があるらしい」と話題になっていたからです。

©iStock.com

ファクトチェックの期待と不安

 今回のJFCの発表では、ヤフー株式会社のほかに世界的なプラットフォーム事業者のGoogleも2年間で最大150万ドルの拠出を行うと発表され、このJFCの母体となるセーファーインターネット協会(以下、SIA)も取材に対して事実関係を認めておりますので、実際にそうなのでしょう。

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 当然のことながら、日本とアメリカなど英語圏のネット情報流通の問題と、ファクトチェックは似た環境、同じような機能を期待されながらも、ファクトチェックを行うネット環境や条件は大きく異なることもあって、期待と不安とが混在しているのもまた事実です。

日本ファクトチェックセンター公式サイトより

 ジャーナリストの林智裕さんや、フェイクニュース関連の著書も出している法政大学の藤代裕之さんもネット記事で反応していますが、私もまた、某庁研究会や、笹川平和財団でフェイクニュース(ディスインフォメーション対策)で委員もさせていただいておりましたので、このあたりの問題の整理と解説などしてみたいと思います。

東京新聞の処理水問題「印象操作記事」を日本ファクトチェックセンターはどう考えるのか @gendai_biz
https://gendai.media/articles/-/100659

第3回 サイバーセキュリティセミナー2021「外国からのディスインフォメーションに備えを!~サイバー空間の情報操作の脅威~」
https://youtu.be/aS2fV3sDLc8

運営委員長には京都大学教授の曽我部真裕さんが就任

 JFCでは、その編集長・常勤スタッフに俺たちの古田大輔さんが就任されています。古田さんは朝日新聞からBuzzFeed Japanの編集長を経てGoogleに移籍。その間、世界的なジャーナリストのネットワークにも精力的に参画してインターネット上の有害情報、フェイクニュース、ディスインフォメーションといった諸問題について日本側の顔役となられて、今回JFCの編集長に就任をされました。