Q 「円買い介入」ってなに? どのくらい効果があるの?
政府・日銀は9月22日、1998年6月以来、約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったとテレビで見ました。
この「円買い介入」とはどのようなものなのでしょうか。また、かといって円安が劇的に改善した印象もないのですが、一体どれほどの効果があるのでしょうか。(10代・女性・学生)
A 効果はありますが…
「円買い・ドル売り」とは、日本政府が持っているドルを円に両替することです。具体的には、財務大臣が介入を指示し、実務を日本銀行に担当させます。そこで「政府・日銀は」という言い方になります。
財務省には「外国為替資金特別会計」というものがあり、ここで外貨(主にドル)を管理しています。この金額を「外貨準備高」と呼びます。今年8月末現在では1兆2920億ドルを所有していましたが、9月末現在では1兆2380億ドルに減少しています。持っていたドルを円に替えたので、ドルの保有金額が減ったのですね。
外貨準備高の内訳も財務省は公表していて、それによりますと、外貨預金の金額は1361億ドルで変動していませんが、「外貨建て証券」が減っています。「外貨建て証券」とは、アメリカの国債のこと。日本政府は、持っているドルでアメリカの国債を買っています。その所有分の一部を売ってドルの現金を得て、それを円に両替したことがわかります。これが「円買い・ドル売り介入」です。
これにより一時的に円高に動きましたが、すぐに元に戻りましたね。でも、1ドルが145円を超えたところで政府が介入したので、投資家たちは、「1ドルが145円を超えたら、また政府が介入するのではないか」と考えて、それ以上の売買を手控えています。結果、とりあえず1ドルが145円を大きく超えて円安になることは防げていると考えればいいでしょう。
逆に言えば、その程度の効果しかないのです。アメリカは金利をどんどん引き上げているのに、日本銀行はゼロ金利状態を続けていますから、長期的に見れば、まだまだ円安になる可能性が高いのです。 これを阻止するには日本銀行が金利を引き上げ、アメリカとの金利差を縮小することですが、日本銀行は、金利を引き上げると日本経済に悪影響を及ぼすと考え、引き上げようとはしていません。