これまでソフトクリームに費やした額は1000万円以上(旅費交通費込み)。日本全国4000本以上を食べてきて、もはやソフトクリームが主食と言っても過言ではない。

 プロソフトクリーマー森川は『マツコの知らない世界』(TBS系)といったメディア出演のほか、ソフトクリームの監修、ご当地ソフトによる地域活性化をテーマにした講演など、“ソフトクリームのプロ”として幅広く活動している。

 ……ただソフトクリームの素人からすると、「そこまで個体差がある食べ物か?」と感じてしまうのが正直なところ。しかし彼を取材するうちに、ソフトクリームというジャンルの奥深さに気づかされた。(全2回の1回目/後編を読む)

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4000本以上食べたプロソフトクリーマー森川が語った「ソフトクリーム」の奥深さとは?

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ご当地ソフトから始まった「ソフトクリーム道」

――本日はよろしくお願いします。あの、本音を言うと、「ソフトクリームってそこまで味の違いがある食べ物なのか?」という疑問がありまして……。

プロソフトクリーマー森川(以下、森川) 僕も昔は「ソフトクリームなんてどれも同じだろう」と思っていました。新卒で旅行会社のJTBに入社して、添乗員としてバスツアーに同行する機会が多かったんですが、みんなサービスエリアでソフトクリームを買ってくるんですよね。

 普段甘いものを食べなそうな年配の男性もおいしそうにソフトクリームを食べている。なんでだろうと思ってみたら、多くのサービスエリアでその地域ならではのご当地ソフトを売っているんですよ。それに気づいてから、自分も仕事などであちこち行きがてらソフトクリームをいろいろ食べるようになりました。

――素人質問ですみませんが、アイスクリームとソフトクリームはどのように異なるのでしょうか?

森川 一緒といえば一緒ですが、それぞれ温度が異なります。アイスクリームはマイナス18度以下のカチカチの状態で販売される一方、ソフトクリームはマイナス5~7度と柔らかい。機械から抽出したソフトクリームをカップに詰めて冷凍したらアイスクリームになる……みたいなイメージですかね。同じ食べ物を温度の違いで区別しています。

「アイスは少し溶かしてから食べるとおいしい」って、たまに聞くでしょう? あれは温度を少し上げることで、ソフトクリームのような、いわば“できたて”の状態に近づけるということなんです。

――おいしいソフトクリームの構成要素とは、どんなものでしょうか?

森川 新鮮な牛乳です。ただ大手ソフトクリーム総合メーカーである「日世」さんが展開しているソフトクリームミックスは非常にレベルが高くて、それを使えば充分おいしいんですよ。さらに上を目指すとなると、牛の育て方からこだわった牛乳など、原材料まで突き詰めていく必要があります。