これまで食べたソフトクリームの本数は4000本、使った費用は1000万円超。ソフトクリームの専門家として活動するプロソフトクリーマー森川だが、彼が追求するのはソフトクリームだけではない。
実はNAR(地方競馬全国協会)で個人の馬主資格を所有しており、一口クラブ会員でもエピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアといったG1勝馬に出資。さらには、東北楽天ゴールデンイーグルスの立ち上げスタッフでもあり、“プロニート”としてハワイ生活を過ごしていた時期もある。
そんな森川は、いかにしてプロソフトクリーマーとなったのか? そもそも何者なのか? インタビューを通じて見えてきたのは、彼の“好き”を突き詰めるエネルギーだ。(全2回の2回目/前編を読む)
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旅行会社での経験が、プロソフトクリーマーの礎に
――取材にあたって森川さんをリサーチしていると、いろいろな情報が出てきて「ソフトクリーム以前にこの人は一体何者なんだ?」と感じました。森川さんの経歴について教えてください。
森川 旅行が大好きだったので、まず新卒で旅行会社のJTBに入社しました。バスツアーの添乗をするうちにサービスエリアで売られているご当地ソフトに興味を持ち、仕事であちこちに行きがてらソフトクリームを食べ歩くようになりました。
でも8年間も旅行会社で働くと、国内外の行きたい場所って大体制覇できちゃうんですよね。そんなとき、東北楽天ゴールデンイーグルスの球団立ち上げスタッフを募集しているのを見かけました。
――野球もお好きだったんですね。
森川 はい。当時はプロ野球の球団職員って基本的に親会社からの出向で、野球に興味があっても仕事にするきっかけがなかったんですよ。「これは!」と即エントリーシートを出したところ、一般公募で内定をもらうことができました。
それから球団の立ち上げに携わり、2013年のオフに辞めました。ゼロから始めた球団が日本一になって、ストーリー的には一区切りかなと。
――そこから今度は「プロニート」になったと聞きました。
森川 楽天にいた頃は忙しすぎて海外旅行に全然行けなかったので、退職後はハワイにコンドミニアムを借りて、2か月くらい過ごしました。
ハワイにはハーゲンダッツの路面店があって、パフェとかチョコフォンデュを提供しているんですよ。すっかりハマって通い詰め、食べたアイスを記録するためのSNSアカウントも開設しました。
――それがプロソフトクリーマーとしての現在の活動に繋がるわけですね。
森川 はい。あるとき投稿を見返してみたら、アイスの記録と言いつつ、ほとんどがソフトクリームの写真でした。当時すでにアイスやかき氷の専門家は存在しましたが、ソフトクリームの専門家はまだいなかった。
「じゃあ自分がなっちゃおう!」とプロソフトクリーマーを自称するうちにメディア出演や商品監修のご依頼をいただけるようになって、今に至ります。