馬主になれば儲かる? G1勝利でも「ちょいプラス」
――森川さんは馬主でもあるそうですね。不躾な質問ですが、ハワイ生活を過ごしていたことといい、ものすごいお金持ちなんでしょうか……!?
森川 いやいや(笑)。でも楽天の頃は忙しくてお金を使う機会が全然なかったので、貯まる一方だったというのはあります。チームに帯同していると、選手と一緒の服や食事が支給されるので、あまり生活費もかからないんですよ。
あとはJTBに勤めていたときにアパートを建てて、不動産収入が得られる状況にしておいたのも大きかったです。
「お金をほとんど使わない」と「不動産収入がある」というふたつの理由で、結構貯金できました。それでも僕なんて馬主の中では底辺ですよ!
――そうなんですか?
森川 1頭の馬を共同で出資する「一口クラブ会員」という制度があります。一口クラブ会員になるだけなら特に資格はいらないのですが、やはり1頭持ちして大きなレースを勝ちたいという夢もあるので、NARの個人馬主資格は持っています。
――でもクリソライト、エピファネイア、リオンディーズ、レイデオロ、サートゥルナーリアとG1勝ち馬にたくさん出資して……。
森川 それはもう単純に運がよかっただけです(笑)。
――馬も収入源になっていたりして……?
森川 ところが馬は賞金も高いけれど、毎月の経費も高い。それにレースに勝ったら勝ったで、次の馬券や馬を買うのにお金を回してしまいますから、これだけの名馬を引き当てても「ちょいプラス」くらいですね。
ただ現役引退で種馬として売却されたときは、一口クラブ会員のあいだで分配した金額といえど、ある程度まとまったお金が懐に入ってきました。
――「演歌歌手の北島三郎さんは競馬でかなりの収入を得たのかな?」と勝手に想像していましたが……。
森川 北島さんは個人所有ですからね。キタサンブラックのような名馬を個人で1頭持てると、それまで30年間負け続けてもチャラになる。まぁ宝くじに当たるような確率ですよ。
――じゃあ競馬で儲けるつもりで馬主になっても全然割に合わないんですね。
森川 はい。でも年を取るにつれて、絶叫するくらい興奮する場面ってそうそうないじゃないですか。馬主席では身なりの良いおじさんたちが立ち上がって、そのへんをバンバン叩きながら「行け!」と自分の馬を応援しているわけですよ(笑)。それだけの熱狂が得られるとなると、もはやお金じゃないですよね。