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──全てお芝居の栄養にできる。

井上 それか、悲しいこともつらいことも、潔く捨てちゃった方がいいです。私はもう“2号”になっているので、悩みを育てないんですよ。忘れちゃう。

 とはいえ、今でも1日、2日くらい落ち込んだりすることはあります。それでも「次に行くぞ」と切り替えて。ずっと悩んでしまうタイプの人にも、こう、見たらすぐやれるみたいなコツをお伝えできたらいいのにな……。

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──もしも17才の自分が落ち込んでいたら、何を伝えますか?

井上 「今はつらいかもしれないけど、この先はもっと楽しいよ!」って伝えたいですね。17才の響きは素敵だし好きだけど、青春時代ってみんな苦しいことがいっぱいあるじゃないですか。本当の17才は苦しいんです。でも、あきらめないでほしいですね。何十年後かに、楽しい17才が待っているから。

キャリアを積んだ声優の難しさ

──井上さんは最近、華道も再開されたとか。

井上 今年の1月から、35年ぶりに。久々にやってみたら、本当に楽しいです。花の命を大切に美しく生ける華道はやればやるほどに奥深くて、一生かかっても極められるかどうか。大先生のみなさまもご高齢ながら活躍されていて、すごい世界ですよ。

──一生、続けられる。

井上 「井上喜久子17才です」ってよく言ってますけど、70才や80才になった時のこともよく想像するんですよ。自分が今やりだしたことのピークが、体力的なことで先すぼみになったら悲しいじゃないですか。

 だから未来を想像した時に、華道ならそのくらいの年齢でも活躍している方がたくさんいるし、この先に体に自由がきかなくなったとしても「これはできる」と感じられるものがあるって素敵ですよね。

──そういう意味では、声優業も体力の限り続けられるお仕事では。

井上 役者の仕事もそうですね。とはいえ実際には、なかなか厳しいですよ。アニメにせよ吹替にせよ、予算内でキャスティングされるので、大御所の方だと難しい場合もあって、より若い方にお願いすることもあるんじゃないかと思います。特に吹き替えでは、子どもから老け役まで、どんな役でもこなせる若手のスーパージュニアさんもいらっしゃるので。