──声優はランクによって出演料が異なるので、上には上の悩みが……。
井上 そんな中でも、第一線で輝き続けている先輩方の存在に勇気づけられるし、希望です。背中を見ながら、私も芸を磨き続けていきたいですね。
もうひとつ、私は物語をつくるのも好きなんですよ。自分で作詞・作曲した歌もあって、即興で曲を作るのも好き。
──20曲以上も手がけていますね。
井上 ファンクラブのイベントでもお客さんから3つお題をもらって、即興で歌う「シャボン玉ソング」をよくやるんです。創作も作詞・作曲も大好きです。
養成所に通っていた頃からずっと一緒のぬいぐるみのお友達「ウェンデにゃん」に、私が考えた17人のお友達をつくって、それぞれに物語を考えたりもしているので、何かやれたらいいな。これから10年でも、20年でもかけて、声優界にも自分が生きてきた世界にも、笑顔になってもらえるような恩返しをしていきたいですね。
「17才は年齢じゃないの。生き様なの」
──自叙伝のタイトルにもなった「井上喜久子17才です」「おいおい!」のコール&レスポンスは、1998年のラジオ番組『かきくけ喜久子のさしすせSonata』で生まれたセリフですね。
井上 構成作家の土井武志さん。昔、羊のかわいいアニメでラムジーちゃん、というキャラがいたんですが、土井さんが羊に似ていたので「ラムジーさん」って呼んでました。そのラムジーさんが台本に書いてくれたセリフです。
番組が始まった当初は、一緒にパーソナリティを務めた山本麻里安ちゃんが16才の現役女子高生で、私が34才。冒頭で「山本麻里安16才です」「井上喜久子16才です」の挨拶がお決まりだったのが、麻里安ちゃんに誕生日が来て17才になり、私も17才になって、麻里安ちゃんが18才になってもそのままずっと17才でいます。
──声に出したい日本語です。
井上 もう「井上喜久子です」で止まれないんですよ。口が勝手に「井上喜久子17才です」って言っちゃうんです。
──(笑)。自叙伝に書いてある「17才教心得」の「17才は年齢じゃないの。生き様なの」は、井上さんの想いを表現してくれるいい言葉ですね。