1ページ目から読む
4/4ページ目

 むしろハンドドライヤーは感染症対策になるのだ。

アクリル板が換気を阻害する可能性も

《アクリル板》

 レストランや喫茶店のテーブル席につくと必ずといっていいほど設置されているのが透明なアクリル板の仕切り。事業者向けの「東京都感染拡大防止ガイドライン」には、「レジと来店客の間や、テーブル上にアクリル板等の仕切りを設置する」とあり、指導に従う店は虹のマークがデザインされた「感染防止徹底宣言」ステッカーを掲示できる。自治体が推奨する感染対策なので、飲食店側は従うしかない。

ADVERTISEMENT

 しかし、オミクロン株が登場してから、飛沫感染だけでなくエアロゾル感染も起きているのではないかと疑われている。エアロゾルは空気中で3時間程度滞留するとされているので、飛沫感染はまだしもアクリル板ではエアロゾル感染は防止できないのではないか。

豪華客船の食堂では、四方に衝立が Ⓒ文藝春秋

「コロナウイルスはやはり飛沫感染がメインなので、飛沫を防ぐアクリル板にまったく意味がないとは言えません。ただ、飲食店等で大事なのはむしろ換気のほう。換気がおろそかな店内で何時間も会食すれば、アクリル板があっても感染リスクは高まります。また、アクリル板そのものが換気の際の空気の流れを阻害する可能性もあるでしょう。市民の感覚も変わってきている今、行政のガイドラインとしてわざわざアクリル板の設置を義務付けるのはあまり意味のないことかもしれません」(前出・矢野氏)

 未知のウイルスへの恐怖が招いた的外れ気味の感染対策。後世への戒めになるか。