10月18日に開催した「デビュー40周年記念 日渡早紀原画展」。「ぼくの地球を守って」(通称「ぼく地球」)など、マンガ家・日渡早紀氏による作品の原画やマンガ原稿を展示している。
「ぼく地球」といえば、SF少女マンガのパイオニア的作品。連載当時、作品に没入しすぎるあまりに現実とマンガの世界の境目が曖昧になってしまう読者も。この事態に、作者が前代未聞の“フィクション宣言”をするに至った。
社会現象を起こし、そして40年にわたって愛される作品はいかにして生まれたのか。日渡早紀氏のインタビューを再公開する(肩書、年齢は当時のまま。初出/2022年5月28日)。
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女子高生・亜梨子(ありす)は、前世では「木蓮」という女性で、6人の仲間と月基地にいた。亜梨子は前世の記憶を共有する仲間と集い、仲間の一人・輪は月基地でのキィ・ワード収集を始めるが、それが地球と月の運命を狂わせるきっかけに──。 日渡早紀の『ぼくの地球を守って』は、1986~1994年に雑誌『花とゆめ』で連載され、“前世・輪廻転生”の大ブームを起こした傑作SFマンガだ。
実は連載当時、熱狂した読者たちは現実でも前世の仲間探しを始め、作者自らが「この作品はフィクション」と異例の宣言を出す事態となった。《戦士症候群》と呼ばれるこの社会現象を、作者は当時どんな思いで眺めていたのか。
今年画業40周年を迎えたSF少女マンガのパイオニアに、大きな影響力を誇った『ぼく地球』の制作秘話を語ってもらった。(全3回の1回目/2回目を読む)
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担当から「君が思うよりもすごいことに……!」と
――『ぼくの地球を守って』(略称:ぼく地球〈たま〉)の連載開始は、1986年12月。主人公の亜梨子(ありす)と仲間たちが前世と現世を交錯し始めたあたりから、毎号大反響だった記憶があります。日渡先生が反響の大きさを感じたのは、いつ頃でしたか。
日渡 連載が始まって半年くらいの頃、《亜梨子と友人の迅八、一成が、雑誌に「前世の記憶を持つ仲間を募集」と投稿したら、大介から手紙が届く》というエピソードを描いたんです。
――これはその回の最後の見開きページですね。
日渡 はい。これが本誌に載ったあと、当時の担当氏からいきなり電話がかかってきて。私は最初「うわ~、また口絵とかの依頼かなぁ。忙しくなるのやだなぁ」などと思ったんですが……。
――そんな話ではなかった。
日渡 担当氏からは「次回の冒頭、ハズしてほしくない。他に展開を振らず、前世のメンバーたちをすぐに会わせてほしい」と言われたんです。
私はなぜそんなことを言うのかわからず、理由を聞いたら、「実は君が思っているよりも、『ぼく地球』の反響がすごいことになっている」と。