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「最終戦争を戦った仲間たち、前世の記憶がよみがえったら連絡ください」 “転生戦士”があふれかえった80年代の日本

2022/05/08

 アニメ業界では、あいかわらず異世界転生のブームが続いている。7月からはTVアニメ『異世界迷宮でハーレムを』や『転生したらスライムだった件』2期の放映開始が予定されており、また『無職転生 異世界行ったら本気だす』2期の制作も発表されている。

 もはやフィクションにおいて「転生」は説明不要のギミックとして定着した感はあるが、実は80年代にも「転生」がブームになり、社会問題となったことがある。

「五人の名前に何かを感じた方は連絡を」

 当時は『ノストラダムスの大予言』(五島勉)に端を発するロングテールのオカルトブームの真っ只中。「ムー」(学研)や「トワイライトゾーン」(ワールドフォトプレス)といったオカルト雑誌が多くの若者から支持されていた。

 80年代に起きた「転生ブーム」は、これらオカルト雑誌で拡大していった。

 当時のオカルト雑誌には読者同士が文通相手(ペンパル)を募る文通欄が設けられており、「ムー」誌には「コンタクト・プラザ」、「トワイライトゾーン」誌には「ペンパル・プラザ」という文通欄が存在した。

©iStock.com

 そして80年代の文通欄には「私は○○の転生」や「前世の記憶がよみがえった」と自称し、「前世の仲間探し」を呼びかける投稿が相次ぐようになる。その典型例は、以下のようなものであった。

「せい、ゆうや、せいや、ゆう、夕顔、という五人の名前に何かを感じた方は連絡を」(「ムー」1986年7月号)

「ハルマゲドンに関わりのある方(戦士など)は情報を……」(「ムー」1986年8月号)

「霧風、涼風、時風、白羽の名におぼえのある方か私を仲間と感じる方、助けてください! わたしはひとりぼっちです。またフェーディア、イディス、レオーラ、ファーミュ、フレード、リュシェ、ティアンという言葉(または名前)について、何かしっていたらおしえてください。それと戦士の方、どうか私に最終戦争のことをくわしくおしえてください」(「ムー」1987年6月号)

 文通相手募集コーナーという特性上、投稿者は住所、氏名、年齢、性別まで掲載していた。それらを見ると、投稿者の大半は女子中高生であったことがうかがえる。現在の個人情報保護法の観点からは考えられないことかもしれないが、事実、これらの投稿欄がのちに問題となっていく。