いまや大阪制作の朝ドラで見ないことがなくなった俳優・湯浅崇。これまで14作の朝ドラに出演し、一度見たら忘れられない独特の存在感を発揮してきた。彼が朝ドラの現場に愛されるのは何故なのか。その理由に迫る、全3回の3回目(1回2回を読む)。

湯浅崇さん ©︎佐野華英

◆◆◆

――「朝ドラ14作出演」は、てっきり最多だと思っていましたが。

ADVERTISEMENT

湯浅崇(以下、湯浅) 僕の上に南条好輝さんがいらっしゃるんです(※『純ちゃんの応援歌』から『おちょやん』まで15作品に出演)。まだまだ頑張ります。

「カツラ持ってるよね?」で2役出演が決定

――初めての朝ドラ『カーネーション』のほかに、印象深い朝ドラはありますか?

湯浅 最近だと、父親と息子の二代を演じた『舞いあがれ!』(2022年後期)も思い出深いです。町工場の社長・古田という役と、終盤に出てきたその息子役をやりました。最初の父親役のオールアップの日に、監督から「カツラ持ってるよね?」と聞かれて「持ってます」と言ったら「じゃあ、息子役もお願いします」と。2役で、序盤から最終週まで出続けることができたというのも嬉しかったです。

――そんな風に役が増えたりするのですね。

湯浅 あとは『あさが来た』(2015年後期)も印象に残ってますね。僕が演じたのは、瀬戸康史くんが演じる成澤とともに女子大設立に向けて奔走する絹田という学者の役でした。でも、もともとはリハーサルの代役として現場に呼ばれてたんですよ。

『あさが来た』NHK公式サイトより

――役ではなかったんですか。

湯浅 朝ドラは月曜日にその週のリハーサルをまとめてやることが多いんですが、特に大阪制作の作品では、東京を拠点としてお忙しく活動されている主要キャストの方々がリハに出られないことがあるんです。代役といえども、スタッフさんがやるよりは役者がやったほうがいいだろうと、僕に声をかけていただいて。玉木宏さん、升毅さん、ディーン・フジオカさんをはじめ、十数人の代役をやってました。

――女性のキャストの代役もですか?

湯浅 友近さんの代役もやりましたね。僕が月曜日になったら現場に行くというサイクルだったので、しまいには「月曜日の男」と呼ばれるようになって。『あさが来た』はコミカルなシーンも多かったので、代役ですけど「笑いを取っていかなあかん」と、僕毎回めちゃめちゃ台本を読み込んでいったんです。それでけっこう笑いを取ることができました。