――リハーサルで特に覚えているシーンは?

湯浅 いちばん初めにやったのが三宅弘城さんの代役でした。波瑠さんが演じる主人公・あさが感動して泣くシーンで三宅さん演じる亀助が先に大泣きしてしまって、「なんであんたが泣いてんの」というシーンで、「あ、ここや」と思いました。ここはめちゃめちゃ泣こうと思って号泣したら、富田靖子さんが持道具の手拭いを渡してくれはって、鼻をかんで返すというアドリブを入れたら、「汚いな」と笑いが生まれて。

――心の中でガッツボーズを。

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湯浅 そうですね(笑)。『あさが来た』は幕末からの話やったんで、男性陣がちょんまげを断髪するエピソードがありました。升毅さんの代役をやったときに「この頭のほうがずっと軽うて楽だっせ」という台詞を言ったら、僕の頭を見ながら近藤正臣さんが「そら軽いわな」とツッコミを入れてくださって、現場に爆笑が起こったのもありがたかったです。そのうち「あいつは一体誰なんだ」という話になったようで、後半で絹田という役をいただきました。

 

朝ドラに出ても「あ、芸能人の方がおる」という感覚が強かった

――絹田役として出演したシーンで印象に残っているものはありますか?

湯浅 代役のときのアドリブを監督が気に入ってくださったみたいで、絹田役でもアドリブを求められることが多かったんです。いちばん覚えてるのは瀬戸康史くんといっしょの「自転車のシーン」。台本には「自転車に乗って去っていく」と書かれていたんですが、監督が「絹田は自転車に乗れないことにしましょう」と言わはって。そしたら瀬戸くんまで「じゃあ僕も乗れないことにしましょう」と言い出して、2人で自転車を押して走っていくというシュールなシーンに。画面からはける直前に「もうすぐ乗れる予定です」とアドリブを入れたりしました。

瀬戸康史(本人Xより)

――瀬戸さんとはいいコンビでした。

湯浅 同じシーンに出ることの多かった瀬戸くんとは一緒にご飯食べにいったり、仲良くさせてもらえて嬉しかったんですよね。それまでは朝ドラに出ても、共演者の方々に対して「あ、芸能人の方がおる」みたいな感覚が強かったんですけど、瀬戸くんは今でも「ずっと関わってくれてる」という感じがあります。

――ムードメーカーとして湯浅さんはスタッフや共演者に愛されているのだなと感じます。