宣戦布告のないまま、ロシア軍が北海道に上陸した。自衛隊は住民を避難させ、防御態勢を固める。

 にらみ合いが続くなか、小隊を率いる安達3尉は中隊指揮所から呼び出しをうける。「敵は明朝、行動開始と見積もられる」。いよいよ“ホンモノの戦闘”がはじまる……!

 

【マンガ】『小隊』第1話から読む

「鳥肌が立つリアルさ」「最高の自衛隊マンガ」

 北海道を舞台に、侵攻するロシア軍と自衛隊との壮絶な戦闘を、一小隊長の視点から描いたマンガ『小隊』が話題になっている。

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文春オンラインで連載しているマンガのなかでも一、二を争う人気でした。特に“現役”ないし“元”自衛官の方からの反響が大きく、『鳥肌が立つリアルさ』『最高の自衛隊マンガ』といった投稿がありました」(担当編集者)

 

 原作小説は元自衛官の作家、砂川文次さんの芥川賞候補作。折も折、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発し、タイムリーな内容が世間の注目を集めた。その衝撃作を、精緻なミリタリー・イラストレーションで知られる柏葉比呂樹さんがコミカライズした。柏葉さんは作品の舞台である北海道在住。作品の読み所や意図について、お聞きした。

──原作をはじめて読まれた時の感想を教えてください。

柏葉 まず、登場人物のセリフのリアルさに驚かされました。CP(中隊指揮所)や3トン半(大型トラック)といった自衛隊特有の専門用語や、01(マルヒト)、11(ヒトヒト)といった部隊間の呼び出し符牒が満載で、それが高い緊張感を生み出していたのが印象的でした。

 

──主人公の安達は幹部候補生学校を卒業後に任官し、小隊長を務めています。彼が率いる30名の小隊のなかには、年長の陸曹や同年代の通信士などさまざまな人物がいます。

柏葉 安達より年上の隊員、例えば中隊長や曹長などは温かくて力強い雰囲気になるようにイメージして描きました。以前、自衛隊の方にお会いする機会があって、その時の印象が「力強く温かい」だったんです。特に階級が上がるにつれて優しさや包容力みたいなのを感じたので、そういった雰囲気を出せたらいいなと思って描きました。

 苦労したのは、作中では登場人物がほぼずっとヘルメットをかぶっているんです。キャラクターを描き分ける際、髪型で差別化するのが最もわかりやすい方法なんですが、その手法を封印されてしまったので、難儀しました(笑)。