妻が代表の政治団体の“脱税疑惑”を巡り、寺田稔・総務相(64)が国会で虚偽答弁をしていた疑いがあることが、「週刊文春」の取材でわかった。大臣秘書官が、寺田大臣の国会答弁とは全く異なる事実関係を、詳細に説明する音声記録が残っていた。

 元財務官僚の寺田氏は、岸田文雄首相率いる宏池会の創設者である池田勇人元首相の孫娘と結婚。同じ広島県選出で、岸田派本流に連なることから、岸田首相の右腕として、重要閣僚である総務大臣に起用された。

「週刊文春」は10月6日発売号で、寺田氏の妻が代表の政治団体「以正会」が長年にわたって、地元秘書らへの報酬支払いを巡って、必要な手続きをせず、源泉徴収を怠っていた疑惑を報じた。

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 これに対し、寺田氏は10月7日の閣議後会見で、人件費の支払先は、地元秘書ではなく、「お手伝いの方」と説明。あくまで「請負契約に基づく報酬」だったとし、「源泉徴収の必要はない」などと主張した。

予算委員会でも「秘書とは別の人」と主張

 10月17日の衆院予算委員会では、野党議員から「第五支部(自由民主党広島県第五選挙区支部)から給料をもらう秘書らに、請負の報酬を上乗せして払った実態は?」などと問われると、寺田氏はこう答弁した。

予算委員会で答弁する寺田氏 ©時事通信社

「そうした実態は全くございません。常勤の支部職員とは全く別の人に対して支払ったものでございます」

 会見の時と同様、人件費の支出先は、地元秘書のような支部職員ではなく、「別の人」だったという主張を繰り返したのだ。

 つまり、秘書に対し、支部からの給与に加え、「以正会」から別途、人件費を支払えば、これも給与とみなされ、「以正会」に源泉徴収の必要が生じる。だが、秘書とは別の人物が「以正会」と請負契約を結んだ場合は、「以正会」に源泉徴収義務は生じない。確かに「秘書とは別の人」という寺田氏の答弁が事実なら、違法性はないことになる。

 しかし、「以正会」の事務担当者、迫田誠・大臣秘書官は10月3日、「週刊文春」の取材に議員会館で以下のように述べていた(音声を「週刊文春 電子版」で公開)。