寺田氏の国会答弁と食い違う迫田秘書官の詳細な説明
迫田秘書官は数十枚に及ぶ「以正会」の振込明細を一枚ずつ確認したうえで、2021年は、6人に対し、計457万5890円を「寸志」として支払ったなどと説明。その「支払い先」を具体的に尋ねたところ、こう答えたのだ。
「Aっていう私設秘書とか、中坂(智明)っていう、(選挙区内の)竹原事務所にいる秘書なんですけども。公設第二(秘書)に、去年からなったんですけども」
迫田秘書官によれば、中坂氏は昨年10月の衆院選後、公設秘書に就任。A氏は地方選出馬に向け、昨年12月に退職した。「以正会」から中坂氏に対しては、昨年2月と3月、5月~10月の8回で計35万円を「寸志」として支払ったという。
では、当時、私設秘書だった中坂氏の「給与」はどこから出ていたのか。迫田秘書官の説明はこうだ。
「中坂は、第五選挙区支部の支部員として第五選挙区から給料出てましたので」
中坂氏とA氏の月給は「多分、15万ぐらい」だったという。
すなわち、「以正会」から「寸志」を受け取っていたのは、寺田氏が主張するような「お手伝いの方」ではなく、支部職員として「給与」が支払われている中坂氏やA氏だったということになる。
このため、寺田氏の「常勤の支部職員とは全く別の人に対して支払ったもの」とする国会答弁は虚偽の疑いが強い。
寺田事務所に10月18日朝、事実確認を求めたが、期限までに回答は無かった。
本来、総務大臣は、政治資金規正法の所管大臣として、政治資金に関する他の閣僚の疑惑について答弁を求められる立場だ。しかし、妻が代表の政治団体における“脱税”に関する疑惑について、総務大臣自らが虚偽の国会答弁をした疑いが発覚した。ことは税金にかかわる問題でもあるだけに、寺田総務相がどのような説明をするのか、また、岸田派の領袖である岸田首相の対応も注目される。
10月19日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および10月20日(木)発売の「週刊文春」では、上記のような不可解な税務処理を行った理由を明かした迫田秘書官とのより詳しいやり取り、側近らを信用しなくなった岸田首相の政権運営の裏側、NTTグループが巨額受注するマイナンバー事業の実態などについて報じている。
また、「週刊文春 電子版」では、迫田秘書官への取材音声を公開している。
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