「週刊文春」10月13日号が報じた、寺田稔総務相(64)の妻の政治団体がスタッフへの報酬支払いを巡って、必要な手続きをせず、長年、“脱税”状態が続いていた疑惑。寺田氏は報道を受け、閣議後会見で「顧問税理士とも相談し、税務署の方も了解を得た形での税法上の処理となっている」などと否定している。

寺田総務相は元財務官僚で税務署長の経験も ©時事通信社

 しかし当初、事務所は税理士に確認したとする文書を示して、源泉徴収の事務手続きを怠っていた旨を認めていた。

政治活動の実態がほぼ無い政治団体で人件費約500万円

 寺田氏の妻・慶子氏が代表を務める政治団体「以正会」。2004年3月に設立され、慶子氏は同年5月から代表を務めてきた。

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池田勇人元首相の孫である妻が代表の「以正会」

 政治資金収支報告書によれば、2015年以降、「以正会」の収入は毎年600万円以上。他方、支出はコピー機リース料などが毎年数十万円程度で、光熱費はゼロだった。所在地は寺田氏が妻と共同所有する自宅で、政治活動の実態はほぼ無いと見られる。

 にもかかわらず、2015年以降、毎年約500万円の「人件費」を支出し続けてきた。

人件費支出は年約500万円

 10月3日、寺田事務所に人件費の支出などについて見解を求めたところ、「以正会」の事務担当者、迫田誠大臣秘書官が議員会館で取材に応じた。

 迫田秘書官は当初、人件費について、地元の私設秘書らに対し、本来の月給に上乗せして支払う「寸志の代わりみたいなもの」などと説明。さらに秘書らが税務申告していないことを明かした上で、次のように述べていた。

「脱税っちゃ、脱税になるんですよね」

 翌4日昼、改めて納税の有無に関して迫田氏とやり取りしていたところ、「税理士に確認した書類」として、「週刊文春」編集部に1通の文書をFAXしてきた。

 そこには、以下のように記されていた。

〈本来の手続きは、税務署に対して「給与支払事務所等の開設届出書」を提出し、給与支払額に応じて源泉所得税を徴収するべきであり、年末に「源泉徴収票」を作成し本人に交付し、本人が2カ所以上より給与の支払いを受けている場合は、本人が確定申告を行う〉