正しい処理ではなかったことを「税理士文書」が認めた
本文はこう続く。
〈以正会は「給与支払事務所等の開設届出書」の提出を失念している状態のまま継続していたため、本人に対して給与の支払いによる源泉徴収の事務手続きを懈怠しておりました〉
つまり、税理士が「以正会は必要な届出を怠り、源泉徴収を行っていないことは税法上問題がある」旨を示した文書だ。
迫田氏は電話で、この「税理士文書」を説明しながら、法律上、正しい処理ではなかったことをこう認めた。
「改めて適正に制度上の処理をしたい」
――結果的に脱税していた。
「表現はそうなっちゃいますけど」
永田町法律税務事務所の長谷川裕雅代表が解説する。
「以正会からの人件費が、地元秘書らに対する給与であるならば、本来は源泉徴収を行い、国に税金を納める必要があります。その前提に立てば、寺田事務所から送られた文書を見る限り、税法上、正しい見解を示しています」
寺田氏に確認すると、事務所見解が「問題が無い」と一変
寺田氏に10月11日、事実関係を尋ねると、主にこう回答した。
「(「税理士文書」は)秘書が事実関係を十分に承知しないまま、税務処理を改めなければならないという仮定の下に、税理士に作成を依頼したものです」
税理士に確認した上で「正しい処理ではない」としていたはずの事務所見解が、1週間で「問題が無い」と一変したことになる。
一連の政治資金問題について、大臣秘書官の迫田氏の説明に不備があったことを強調する寺田氏。だが、当の迫田氏は10月3日の取材で、寺田氏に確認した上で取材に応じ、回答していたことを認めていた。寺田氏は政治資金などを所管する総務省のトップ。まして、自らの妻の政治団体に指摘された“脱税疑惑”だ。透明性のある説明が求められる。
10月12日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および10月13日(木)発売の「週刊文春」では、寺田氏の“脱税疑惑”の詳細のほか、保有資産に関する寺田氏の資産公開法違反、細田博之衆院議長が“紙対応”を行った翌日に取った驚きの行動、岸田文雄首相の“豪邸”を巡る脱法的な相続、首相秘書官に就任した長男・翔太郎氏の知られざる人物像などについて詳報している。
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