文春オンライン

2022/11/03

現実には「つり合わない結婚」はあまりない

 この社会で生きている大多数の男性は大多数の女性同様「特別の才能や特別に優れた人格でない」そこそこの普通の人です。よいところもあるけれど欠点もあります。そして自分も長所だけでなく短所もある「人間」です。「この人でいいのだ」とお互いに納得して結婚するのが「両性の合意」に基づく結婚です。

 私がデビュー作の『女性は挑戦する』を書いたころは、女性自身が社会で活躍する選択肢はとても限られていたので、将来の所得、社会的地位も男性(夫)次第でした。古いジョークですが、「高校の同級生が20年後に巡り合いました。成績の悪かったかわいい女の子は社長夫人になっており、クラスで一番成績がよくて頑張った女の子はその会社の事務員でした」というケースはあり得る話でした。

 現実には多くの調査の示すところによれば結婚は同類婚といわれるような似た者同士の割合が高いようです。学歴も出身階層も同じような場合が多く、現実には「玉の輿」も「逆玉の輿」も少ないのです。

 最近の調査でも女性は大学に進学したグループの生涯所得が高い、これは大学進学した女性は生涯所得の高い高学歴男性と結婚する割合が高くなるからだ、とされています。いわゆるつり合わない結婚は皆の関心を引き印象深くて話題になるのですが数は少ないのです。

昔は「悪い結婚」でも結婚しないよりよかった

 私が昭和女子大学で卒業生の就職に力を入れようとしたときに「女子学生にとって就職はそんなに重要ですかね? どうせ2、3年でやめるのだし、それより永久就職が大事ですよ」と大まじめで言うお年を召した男性の教授もいらっしゃいました。昔はそうだったでしょうが現実は変わっています。

 お互いがお互いを大事に思い、お互いが助け合う、そうしたいい結婚が女性にとっても男性にとっても人生の喜び、幸福の源であるのはどんな時代になろうと変わらぬ真実です。もちろんそれは出会いの際の「条件」だけで決まるのではなく結婚してから2人でつくり上げるものです。

 この40年の間に大きく変わったのは「悪い結婚」に対する考え方です。40年前は夫が暴力をふるう、浮気や婚外恋愛をする、妻の能力や仕事をバカにする、育児や介護を妻に押しつける、そうした「悪い結婚」であっても夫が経済的な扶養責任を果たしていれば、妻は我慢して結婚すべきだと考える人が多数派でした。

 ましてや相手が自分を理解してくれない、十分に愛してくれないから離婚するなんて「わがまま」とされていました。夫が家事育児を妻に押しつけていて分担しなくても「当然」でした。そうした「悪い結婚」でも結婚しないよりよい、離婚よりよいというのが常識でした。

 離婚したら女性は食べていけないでしょう、子供を養う力がないでしょう、だからどんなひどい夫であっても妻は忍耐すべきだ、と親も周囲も考えていました。妻から離婚を要求するのは、夫が犯罪を犯した、ギャンブルで借金をつくった、などよくよくの場合だけ。よその女性と浮気をしても目くじらたてず自分のもとに帰ってくるのを待つ妻が「できた妻」とされていました。