文春オンライン

2022/11/03

離婚した後の女性の生活は

 今では離婚は婚姻数の約3分の1、決して珍しいことではなくなりました。妻の側が悪い結婚に我慢しなくなってはいるからです。一方、夫の側は扶養義務を果たせばよいと昔の結婚観を引きずっているケースも多く、その差が離婚に結びつきがちです。

 女性に忍耐力がなくなったから、わがままになったからといわれますが、私は男性が社会の変化、女性の変化に十分追いついていないのが大きな原因だと思います。男性も変化を認識し、結婚観を変えなければなりません。多いのは結婚するまで、子供が生まれるまでは女性の仕事を理解し、支援しているけれど、子供が生まれると昔の父親像に戻る例です。

 離婚後の親権は妻、母親がとることが多いのですが、妻がしっかりとした仕事を持たないでパート、アルバイトなどの低収入の仕事についているケースが多いので母子家庭に多くの問題を生んでいます。母子家庭の母親の所得は平均220万円で標準世帯の約3分の1です。夫からの養育費はとても少ないか払われないことが多く、マンションなど住居も夫の名義になっていることが多いのです。

 子供の貧困が話題になっていますが、その大半は母子家庭の母親の貧困がもたらしたものです。離婚しても自分と子供が暮らしていける収入を確保する、子供を持っても正社員の仕事を続けるのが女性の人生設計の基本です。

©️iStock.com

もしも夢やぶれても

 私はかねがね「自分と未来は変えることができる。他人と過去は変えることができない」と思っています。自分と未来を変えるのも簡単ではありませんが、可能です。しかし自分が結婚した相手を変えることができる、というのは不可能な幻想に近い。

 誠実かどうか、努力をいとわないかどうか、勤勉かどうか、忍耐強いかどうか、そうした資質は結婚してから妻の愛情で変わることはほとんどありませんから、結婚する前にしっかり見極めましょう。しかしだれも「悪い結婚」をしようと思っていなくても「悪い結婚」はなくなりません。若いときは、自分の愛によって相手を変える「夢」を見てしまいがちですが……。夢がやぶれても最低限生きていく力が必要だというとロマンチックではありませんが、それが現実です。

女性の覚悟

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坂東眞理子

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