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「男尊女卑は日本古来の伝統ではありません」ワンオペ育児を正当化して女性の負担を増やした日本人男性の“罪深すぎる誤解”

『女性の覚悟』より #3

2022/11/03

 昭和女子大学の理事長・総長で、300万部のベストセラー『女性の品格』の著者である坂東眞理子氏。そんな坂東氏が2022年6月30日に新著『女性の覚悟』(主婦の友社)を上梓した。

 坂東氏は同書の中で「人生100年時代に50歳前後の女性がどう生きるのか。その大前提はひとりひとりの女性が『覚悟』を持つこと」としている。自分の人生に責任を持ち、1日1日を丁寧に暮らすことが、「覚悟」を持つことにつながるそうだ。

 ここからは、『女性の覚悟』からさらに一部を抜粋してお届けする。(全4回の3回目/2回目から続く)

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©️iStock.com

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1975年の「固定的性別役割分担が諸悪の根源」という国連の言葉

 1975年は国連が国際婦人年と定め、メキシコで第1回の世界婦人会議が開催され、世界行動計画が採択されました。その中で「男は仕事、女は家庭」「男は外、女は内」のように性別で役割を固定的に考える「固定的性別役割分担が諸悪の根源」という言葉を聞いたとき、私は大きな感銘を受けました。

 それまで男性と女性は生まれつき体力・体格の差、性格・適性の差があり、女性が男性より劣った存在として扱われるのは仕方がないことかと半ばあきらめていたからです。多くの宗教は男尊女卑の儒教だけでなく、イスラム教もキリスト教も男性の優越を前提としていました。

 私自身は「女らしくない」し、普通の女の子よりは体力もあるし勉強もできるけれど、それは学校の中だけ。社会に出たら女性だから男性のようには活躍できないと思い込んでいました。

 しかしその原因は個人の能力の差というより、社会的な役割分担の影響なのだ。生まれつきの生物的な差より、私たちは後天的に社会的役割を刷り込まれ、女性に仕事や社会的活動では機会が与えられてないことから差がもたらされるのだ。自分たちを「第2の性」として男性より劣った存在だと思っていてはいけないのだという思いに国連が大きく後押ししてくれたと勇気づけられたものです。自分のもやもやした思いに「言葉」が与えられたことによって、課題が明確になりました。

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