1ページ目から読む
3/5ページ目

 ショータイムになると、ステージでは生バンドによるイントロクイズが始まり、盛り上がりを見せる。続いてプロのダンサーとホステスによるダンスショーが始まった。本格的な衣装とメイクで繰り広げられるエンターテイメントショーは圧巻だ。常連客はお気に入りのダンサーが近づくと、衣装におひねりを差し込み喜ぶ。愛が満ち溢れた空間に感動を覚えた。また必ず訪れようと思っていたが、同店は2018年1月10日に閉店してしまった。

ミラーボールに照らされながら……

 同じ年、白いばらと同じく生バンドが演奏する、東京最後のキャバレーが幕を下ろした。

赤羽ハリウッド外観

「キャバレーハリウッド」だ。最盛期には全国に44店舗を構えていたが、最後は北千住と赤羽という地元客に親しまれる場所に2店舗が残されていたのみ。2018年、キャバレー太郎の異名を持つハリウッドの社長、福富太郎氏の死去により、12月30日をもって閉店した。

ADVERTISEMENT

客席からステージを眺める

 情報を聞きつけた私は慌てて、赤羽店へと向かった。ゴージャスなパーティションで区切られた中に、いくつものボックス席が並ぶ。薄暗い客席は少し天井が低く、周りの視線が気にならないソファでは、秘密を話したくなる雰囲気だ。

毎晩ショーが開催されるステージ。ステージ上にせり出した壁にはハリウッドのロゴと「踊り子ちゃん」が輝く

 目当ては、日替わりで演者が替わるショータイム。歌手がジャズやポップスを歌う日もあれば、バーレスクやポールダンスといった日もあり、毎日通っても飽きることがなさそうだ。この日はムード歌謡を聴くことができた。全く知らない曲だが、ついつい手拍子やかけ声をかけたくなり、テーブルについたホステスとともに、店内が一体となり盛り上がる。これがキャバレーの醍醐味だ。ダンスフロアでは曲に合わせて踊り出す客も現れた。なんでも、踊るためにキャバレーに来るという人もいるのだとか。ミラーボールに照らされながら、夢見心地で楽しめる非日常だ。