僧侶が食事を行っている間、20ページの印刷物を片手にお経を読む
その様子を見ながら、エミさんが横で説明してくれるので、その女性たちが瞑想しながら何を言っているのか、そして自分たちが何をすべきなのか、理解できました。その後、筆者たちも女性たちと一緒に10分以上の瞑想を行いました。
「今日の現代社会の問題は、人々が考えるのをやめられないこと。何も考えない瞑想を会得することで、苦しみやストレスの問題を解決するのに役立ちます」というのはトムさんの言葉です。
瞑想が終わると、専用の仏具に水を注ぎながら世の中の悲しい事件に思いを馳せます。その後、僧侶と全員で読経を行いながら、用意した食事をトムさんのお椀によそいます。いわゆる「托鉢」です。さらに、僧侶が食事をしている間、20ページの印刷物を片手にお経を読みます。
「アラハトー サンマー サンブッターサー」「タンマン サラナン カッチャーミー」
幸い手書きで日本語も書かれていたので、タイ人女性らに「うまいねー」と褒められる程度には読めました。最終ページの少し前まで読んだところで、トムさんが食事を食べ終えます。
タイ本国では味わえない良さが和歌山に
そしていよいよ、参加者がごはんを食べる番です。床にシートを広げ、用意した食事を並べます。あんかけ料理、焼き魚、揚げた豚皮、肉、ごはんなどがあり、不足時用にサトウのごはんも用意されていました。タイ料理屋ではまず食べられない家庭料理、待望の異国飯です。筆者たちは、タイ人女性達とピクニック気分で食事を楽しみました。
謎のあんかけ料理はナンプラーが効いて、あまりにも旨い。同行した嶋田さんも「今まで食べた外国料理で一番うまい。めちゃくちゃうまい!」と大絶賛。「地元にこんなガチ異国を体験できるところがあるのか」と驚いていました。
タイ現地に旅行できていれば、それは申し分なく楽しかっただろうと思います。でも、和歌山市のど真ん中に集住するタイコミュニティに浸るのもまた、タイ本国では味わえない良さがありました。
ネットである程度分かる時代、グーグルマップのストリートビューで見てみるだけでも、現地の状況はだいたいわかってしまいます。けれど、答えの書かれたガイドブックがあっても旅行へ行くように、現地に行って実際に見て、空気を感じて、食事をすることで、ネットの情報以上のものを五感で得られるのです。
写真=山谷剛史
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ガチタイタウン和歌山をはじめ、東京や大阪や愛知などを舞台に、スマホを片手に場所を外国人コミュニティを探し出し、外国人ばかりの店で料理を食べて買ってお祭りに参加する。ジェネリック海外旅行の最強マニュアル『移民時代の異国飯』、星海社より発売中です!