文春オンライン

2022/10/25

「うどんは修行してますから自家製麺できますが、他の麺は微妙な味を再現することが難しく同じものを使っています」と小谷さんは言う。

3~4人前ずつ練ったうどんを作っていく(こちらは展示用見本)

 つゆも本店と同じかつお節系やムロアジなどの出汁を同じ配合で作り、醤油も名古屋のものを取り寄せている。そして同時に無添加にこだわっているとか。

「奥深い口当たりのよい鮮やかなつゆ、ゴクゴク飲めるようなつゆを目指しています」と小谷さん。

うどんと中華麺のミックスの味は…

 そんな話をしているうちに、注文の品が登場した。

 左が「う中小盛」、真ん中が「きしそ小盛」、そして「小海老と長ねぎのかき揚げ」である。

「う中小盛」、「きしそ小盛」、「小海老と長ねぎのかき揚げ」

「う中小盛」のうどんはやや細めのタイプで程よいコシが特徴だ。中華麺は細めのストレート麺で加水は低めである。「きしそ小盛」のきしめんはとぅるとぅるの食感、そばはこちらも加水低めの麺である。

「う中小盛」
「きしそ小盛」

 しかし、ここまで来ると読者の皆様も『このつゆで本当においしいの?』と懐疑的になるかもしれない。そこでさっそくつゆをひとくち。つゆはいずれも同じものである。出汁のふくよかな味と名古屋の醤油の鮮やかなムラサキ色の返しが融合し、いわゆる関東風の濃く黒いしょっぱいつゆではない、名古屋風のつゆが完成されていた。そして、このつゆはうどんやきしめんはもちろん、中華麺やそばにもよく合っている。不思議である。

種類豊富な薬味で味変

 そして薬味が活躍する番だ。カウンターの上には一味、七味、コショー、ラー油、すりゴマ、特製醤油と並んでいる。うどん・きしめんにはすりゴマ、中華麺にはコショー、そばには一味や七味をひと振りふた振り。薬味をかけることでそれぞれの馴染みの麺の味が際立つ。頭と舌がようやく整理され調和がとれるような雰囲気になる。麺ミックスはなかなか深い味である。

一味、七味、コショー、ラー油、すりゴマ、特製醤油と並んでいる

 そしてトッピングの「小海老と長ねぎのかき揚げ」の大きいこと。揚げ具合も申し分なくしかもサクサクでほんのり塩味も感じられる。これをちぎって「きしそ」にのせて食べてみた。小海老の香りが口一杯に広がった。酒のアテにもうまそうだ。

「小海老と長ねぎのかき揚げ」は大きくてサクサク
「きしそ」に天ぷらをのせていただく

 麺ミックスを作る場合、麺の茹で時間がすべて違う。時間のかかる順番にいえばうどん、きしめん、そば、中華麺。「ちょうど同じタイミングで麺上げするように合わせるのが難しい。簡単そうにみえますが、けっこうドキドキしてます」と小谷さんは茶目っ気たっぷりに話してくれた。

 最後に小谷店主からご挨拶をいただいた。

「最近は近隣のオフィスワーカーにも認知されて、本日のランチ定食も人気になるなど、昼は少し忙しくなってきました。女性の一人客でも安心してぷらっと入れる店だと思いますので、楽しい麺の組み合わせと出汁つゆの味を是非、召し上がってみてください。お待ちしております」

この日もランチメニューは売り切れていた

「長命うどん東京本店」は店主の小谷さんが一念発起して、東京で唯一暖簾分けを認められた店である。しかも4種類の麺から好きな麺を選べたり、食べ方もたくさんあるというユニークな店で、食べていてなんだか楽しい。麺を食べる口福感がここにはある。また再訪したい店である。最後に長命うどん本店にあるメッセージを記しておこうと思う。

長命に
日々幸せに
と祈りつつ
心を籠めて
作るこの味

INFORMATION

「長命うどん東京本店」
住所:東京都渋谷区恵比寿1-14-6 オーツースリービルディング1F
営業時間:月~土祝 ランチ営業 11:30~15:00
水木金 ディナー営業    17:30~21:00
定休日:日

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー