1ページ目から読む
2/2ページ目

プーチンはカディロフなしでは戦争ができない

 プーチンと近くなったのは04年、チェチェンの大統領だった父の暗殺事件後。プーチンの後押しで、世襲に成功したからだ。誘拐や拷問、略奪を行う「恐怖政治」を敷いたため、今年2月、市民15万人が首長解任をプーチン大統領に求める嘆願書に署名したが、ウクライナ侵攻でうやむやになった。

プーチン大統領

 ゲンナジー・グドコフ元露下院議員は、「反政府女性記者アンナ・ポリトコフスカヤ、野党指導者ボリス・ネムツォフ元副首相の暗殺は、カディロフの私兵が実行した可能性が高い。ただ、ロシアの治安機関は暴走するカディロフを憎んでいる」と指摘している。カディロフはプーチンの「暴力装置」となったのだ。士気の高いカディロフの軍に頼るプーチンはもはや、彼抜きに戦争継続ができない。

 仮にプーチンが退陣すれば、誰も彼をコントロールできなくなる。「カディロフは近隣イスラム系の共和国を束ねて独立国家『カフカス連邦』を設立し、ロシア連邦は瓦解する」(ロシア人記者)との予測もあり、言動は今後も注目される。