プロ野球中日、横浜(現DeNA)、楽天の3球団でプレーし、現役引退後は中日、ロッテなどでコーチを務めた中村武志氏(55)。昨年限りで37年、着続けたユニホームを脱ぎ、今年からは野球評論家やYouTuberなどとして活動している。
中日の若手時代には星野仙一監督の“鉄拳指導”も経験しながら、頭角を現し、通算1955試合に出場。球界屈指の捕手になった。そんな中村氏が星野監督との知られざるエピソードを語った。
星野さんの話が関係者によって大袈裟に盛られて語られている
皆さん、はじめまして。中村武志です。
55歳にして初めての評論家生活で驚いたのは、星野さんの話、しかも私が殴られた話を求められることが、もうとんでもなく多いことです。求められるままに元選手らのYouTubeチャンネルで紹介していると、いつしか『球界の殴られ屋』なんて呼ばれるようになってしまいました。
別にこだわりがあるわけではないので、構わないのですが、「選手に鉄拳制裁なんて御法度」という世の中になった今、例えば年配の方は昔のことを懐かしがったり、球界の過去を知らない若い人は新鮮に思ったりするようで、そこに需要があるんだろうなと解釈し、できるだけお応えするようにしています。
ただ、ちょっと気になっているのが星野さんの話がそれぞれの関係者によって大袈裟に盛られて語られていることです。
もちろんご存命であれば、その威光ゆえ、恐れ多くてこれほどまでに”ネタ“にされることはなかったことでしょう。プロ野球界では元選手のYouTube進出が当たり前になり、日々再生数を求められる動画でこれほど話題に重宝する人はいないのかもしれません。私もそうですが、この年になってもまだ、星野さんに食わせてもらっていると実感しています。
その一方で、だからこそ事実をありのままに話すべきだとも肝に銘じています。私は星野さんがいなければプロの世界では芽が出ず、とっくに消えていました。