『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン 著/高橋璃子 訳)かんき出版

 人生はたったの4000週間。この限られた時間をいかに有意義に過ごすか、ウィットに富んだ語り口で考察する本書が話題だ。多くのインフルエンサーに支持され、発売前に重版がかかった。

「今までのタイムマネジメント本は、効率よく時間を使い、生産性を上げようといった内容がほとんどです。本書はそれらとは一線を画し、全く新しい時間の捉え方を提唱している点に惹かれました」(担当編集者の朝海寛さん)

 目の前のタスクを片付け、時間ができたら、やりたいことをやろうと考えがち。だが著者は《そんな日は、いつまで待っても、やってこない》と警鐘を鳴らす。時間は有限で、コントロールできる時間はさらに限られている。効率を上げるのではなく、置かれた現実に向き合い、自分の限界を知ってやることリストを減らし、大切な人や物のために時間を使おう、と勧める。

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「本書は興味深いエピソードが豊富なのも魅力です。ハーバード大学の美術史の授業で作品1点を3時間見続け、じっくり時間をかけることの価値を知るというのもそのひとつ。この話を脳科学者の茂木健一郎さんにしたところ、本書とは関係なく、すでになさっていると聞き、さすがだと思いました。エピソードを追体験することで新たな発見があり、さらに時間に対する気づきを得られると思います」(朝海さん)

2022年6月発売。初版5000部。現在7刷23万部(電子含む)