弟子と6人の子を育てる“史上初”の女性落語家
本邦初の女性落語家が、露の都その人である。つまりパイオニア。1974年、露の五郎に入門、落語家修業が始まった。
「夜は師匠が帰るまで眠れませんし、体がよう持ったと思いますわ。当時の思い出は、師匠の家は南甲子園にあって、梅田に出るのに阪神電車に乗るんです。私は『この人、次の駅で降りるな』というのが分かるんですよ(笑)。師匠が『なんや、都が付いてくる時だけは座れるな』と褒めてくれたのをよう覚えてます」
人生は有為転変、結婚、2児の出産、離婚、そして4児を持つ男性と再婚した。
「子育てで忙しい時期は焦りもあったし、時間が自由にならん悔しさもありました。でも、やり続けるのが大事。辞めたら、そこで終わりやからね。子育てが一段落してからは、天満天神繁昌亭でトリを取らせてもろたり、男性しか出てこない落語を女性版に改作したりと、私らしさが出せる時期に入ってきたのかなと思てね」
入門からまもなく50年となり「女流に勢いがついてきました」と目を細める。
「女が男にかなわんのは、腕力だけやから。今は東西で50人以上の女性落語家がいますけど、最初の8年間は私ひとり。若い時は競争相手が少なく、正直、ぬるま湯やったと思います。今は上方では桂二葉ちゃんなんかが出てきて、競争があって芸を磨く環境が整ってきました」
占いが趣味で「私の落語人生は、あと20年」と笑う。「85歳まで元気で高座に上がることになるんですよ(笑)」
〈#3に続く〉
<上方> 露(つゆ)の都(みやこ)
「露の都落語会」
2022年11月4日(金)18時30分開演
大阪・天満天神繁昌亭
☎06-6785-2525
詳細は http://www.tuyunomiyako.jp