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「安倍氏にスポットライトを当てるための政治人生」と…野田佳彦が「追悼演説」で見せた“プロレス愛”がすごすぎた

「安倍氏にスポットライトを当てるための政治人生」と…野田佳彦が「追悼演説」で見せた“プロレス愛”がすごすぎた

2022/11/01
note

拍手をしている議員がマヌケに見えた

 いけない、野田氏をちょっとディスってしまいました。でもきちんと演説の最後のほうには「仕掛け」も用意していた。

《真摯な言葉で、建設的な議論を尽くし、民主主義をより健全で強靱なものへと育てあげていこうではありませんか。》

 議場は拍手に包まれましたが、私は拍手をしている議員がマヌケに見えた。ここ数年の国会を見ていると「建設的な議論を尽くす」に拍手しちゃった議員さんは大丈夫なの? と思えたからです。

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 あと、安倍氏は首相時代に「真摯」という言葉をやたら使って真摯ではない態度のときがやたらありました。それをわざわざ思い起こさせるような「真摯」の使用。野田氏のいじわるが炸裂した場面でした。

(左から)野田佳彦と武藤敬司 ©文藝春秋

「総理大臣がヤジを飛ばしているようでは…」

 ちなみに野田氏はかつて安倍首相が現役のときに雑誌でこう語っています。

《プロレスは、相手の技を一生懸命に受け止めて、お互いの良さを引き出しあうからこそ、感動できる。「受け」が重要なんです。政治も言論の戦いですから、相手に一定のリスペクトをもって話を聞けば、建設的な議論になる。総理大臣がヤジを飛ばしているようでは、お話になりませんよ。》(「Number」2015年7月30日号)

 安倍氏が現役のときはしっかりこう言っていました。今回は追悼演説なので表現や言葉選びが巧みだったことがわかります。

 さて今回の演説のハイライトは次の部分ではないでしょうか。