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会ったこともない人たちからの誹謗中傷も

細木 裏切られたり、歪曲されたり、家族を傷つけられたり。

 子どもの頃、母の家にはよく来客があったとお話ししましたよね。母にペコペコ頭を下げている人たちが、母がいなくなった瞬間に悪口を言う姿を何度も見ました。きっと幼い子どもの前だから、油断していたのだと思います。

 その他にも、週刊誌に根も葉もないことを書かれたり、誠心誠意取材に答えても全く異なるニュアンスで記事が掲載されたり。突然質問事項が送られてきて「今日の夕方までに回答してください」と一方的に言われて回答時間を過ぎてしまったら、「事務所から回答はいただけなかった」と言われてしまったことも。

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 時には家族の私達までメディア上で非難され、会ったこともない人たちから誹謗中傷を受けたこともありました。

 母の後を継いで、私が非難されるだけならまだ耐えられます。でも、私のせいで家族を傷つけられるのは怖かった。家族にまで“有名税”を背負わせるのは酷すぎると思っていたんです。

本人インスタグラムより

マネージャー業を通し「なんて意義のある仕事なんだろう」

――葛藤しながらも、最終的には後継者になることを決めたのですよね。その理由は?

細木 後継者になることは一旦断ったのですが、その代わりに母のマネージャーをオファーされ、しばらく身の回りのお手伝いをしていたんです。その過程で、母との対話を通じて人生が変わった人にたくさん出会ってきました。

 占いはあくまで人生を好転させるための手段のひとつで、決断するのも、行動するのもその人次第。だから、目の前で悩んでいる人が少しでも行動に移せるよう、母はいつも真剣でした。本気で人の幸せを願っているから、なけなしのお金を貯めて母に助けを求めに来た人に、占い後返金したこともありました。

 事務所に来る前は暗い顔をしていたのに、母と話した後は笑顔になって帰っていく人たちを見て、「なんて意義のある仕事なんだろう」と思うようになったんです。でも、母は弟子を一切とっていなかったから、母が引退したらこの仕事を引き継ぐ人は誰もいません。それなら、母を一番間近で見てきた私が跡を継ぐべきなのでは、と思うようになったのです。

――当初気にされていた、家族への誹謗中傷の懸念は?

細木 子どもたちの一言に後押しされました。悩んでいた私に、「数子ちゃんの願いなんだから、やってみたらいいんじゃない? 私達家族は何が真実かちゃんと分かっているから大丈夫」と声をかけてくれて。

©️釜谷洋史/文藝春秋

――実際に後継者になった今、誹謗中傷についてはどう考えていますか?

細木 私はエゴサーチをしないので目にも耳にもほとんど入ってこないですね。

――それは“あえて”していない?

細木 そうです。誰だって自分の悪口を見るのは気分が悪いじゃないですか。事実無根の誹謗中傷に感情を左右されたくないので、SNSは見ないようにしています。私以外の事務所のスタッフたちは運営上いろいろと目にしていると思いますけどね(笑)。(#3に続く)

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。