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 23時頃には酒に酔った若者が街にあふれ、騒ぎを起こし始めていた。大音量の音楽を流すスピーカーを担いだ男性が現れると、その周囲には人が集まり歓声を上げながら踊りはじめる。飛び跳ねる人が車道にもあふれ、警備員に注意される様子もあった。

クラブミュージックを流し、縦ノリの若者たち Ⓒ文藝春秋 撮影・上田康太郎

 あわや大事故になりかけない衝突事故も発生していた。爆音のクラブミュージックを流しながら走行していた車両が右折をしようとしていたのに急遽直進に変更。対向車線を走るバイクと衝突した。幸い、けが人はいなかったようだが、車の運転手は警察を呼ぼうともせず、音楽を消すと去っていった。

事故の影響?日本人は結構おとなしかった

 同様に大音量の音楽を流して走行していた車両は警察に呼び止められ、スピーカーなどの機材を取りはずすよう注意を受けていた。運転手は「すみません」としおらしく答え、指示に従っていた。

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路地だけでなく、道路上にも警察の厳しい目が光った Ⓒ文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

 午前0時半、終電時刻が迫るスクランブル交差点には「蛍の光」が流れ始めた。そのメロディにうながされ、街にあふれていた若者がぞろぞろと渋谷駅に向かい始めた。

 終電を逃した者は酒を求めてクラブになだれ込み、未成年や酒を飲めない者はセンター街をうろうろとさまよっている。週末の同時刻よりは人の往来はやや少ないものの、宇田川交番前やセンター街は人でまだあふれている。

終電を過ぎると、スクランブル交差点も人が少なくなった Ⓒ文藝春秋 撮影・上田康太郎

 千葉から来たというウェディングドレス姿の女性は今年が初めてのハロウィーンだったという。

「地元が奄美大島なので、渋谷ハロウィーンはすごいなと圧倒されました。韓国の事故はショックだったけど、東京は道が広いし大丈夫かなと思って来ました。今日声をかけられるのがほとんど年下だというは驚きましたね。私、22歳なんですけど」

「朝まで楽しむつもり」の花嫁たち Ⓒ文藝春秋 撮影・上田康太郎

 実際に、10月31日は外国人観光客が少なく、若い日本人が多い印象だった。そのためか、夜が更けても酒を飲み続ける人はほとんど見られず、路上でテキーラを売る男は大量の“在庫”を抱えていた。

 路地には歩き疲れた若者が座り込み、その横をゴミ拾いのボランティアが通り過ぎていく。

疲れ果ててしまった若者たち Ⓒ文藝春秋 撮影・上田康太郎

 こうして28日から4日間にわたる長い熱狂は、祭りの後のむなしさを残して夜明けの空気とともに冷めていくのだった。

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