渋谷の街頭に貼りだされたマナー向上を訴えるポスターは呼びかける――「自由とモラルはセットだろ?」

 今年もハロウィーンの時期がやってきた。文春オンラインは、多くの仮装した若者が渋谷を舞台にお祭り騒ぎに興じる様子を毎年お伝えしてきた。昨年はコロナ禍の只中ということもあり、区からは”自粛要請”が出されていた。しかし、そんなものはどこ吹く風。「緊急事態宣言」が明けたばかりという解放感も手伝い、多くの若者がセンター街にコスプレ姿で集結し、大いにハロウィーン騒ぎに明け暮れたのだった。

今年のハロウィンのトレンドは… Ⓒ文藝春秋

 さて今年はどうか。渋谷区の長谷部健区長は、10月20日の記者会見で「渋谷に来られる場合はルールを守って」と呼びかけた。感染者数の減少や入国規制の緩和、イベントなども随時再開されていることをうけ、計5800万円のハロウィーン対策費も計上されている。人出が増えるのは、誰の目にも明らかなのだ。

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10月28日(金)の“前夜祭”

 ハロウィーン本番に先立つ10月28日。取材班が現地を訪れると、そこには予想通り多くの若者の姿があった。ハロウィーンの“前夜祭”ともいうべき花の金曜日。狂乱の前兆を見せた一夜の模様をお届けする。

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 10月28日の夕方、渋谷の街は人こそ多いものの、仮想姿で練り歩くひとはほとんど見当たらない。しかし、日が落ち街灯に灯がともる時刻になると徐々に人が増え、飲食店が多く並ぶセンター街も活気があふれてくる。

日が落ちて、人も増え始めた Ⓒ文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔 

 毎年この時期になるとセンター街のパトロールをしている渋谷センター商店街振興組合理事長の小野寿幸さん(80)は、ハロウィーンの渋谷の様子を「あれはハロウィーンではなく暴動ですよ」と苦言を呈す。