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 センター街に異変が生じたのは22時頃だった。お盆を持った若い女性二人組がセンター街のあちこちに出現しはじめた。お盆にはいくつもの紙コップが載せられており、その中身はテキーラだという。

路上に現れた即席ガールズバー

 道行く男性2人組が女性に近づくと千円札を一枚渡し、コップを二つ受け取る。すると女性がすかさず「うちらの分は?」とおねだりした。男性たちは苦笑いするとさらに千円を取り出し、4人で仲良く中身をあおっていた。どうやら即席のガールズバーのようだ。

屋外立ち飲みガールズバー Ⓒ文藝春秋

 街の中にはビールの缶や食べ物の袋があちこちに捨てられ、嘔吐の跡らしきものも散見された。路地には酔いつぶれた友人を介抱するグループもみられた。

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酔いつぶれる人たちもちらほら Ⓒ文藝春秋

 JR渋谷駅のハチ公改札前に向かうと、「勝鬨じゃー! エイエイオー!」という掛け声が聞こえてきた。声のする方を見ると、全身が電飾で光り輝く男性が、これまた電飾で光り輝く自転車にまたがっていた。

駅前でひときわ目をひいていた Ⓒ文藝春秋

「今日のテーマは、“世の中を明るく照らそうホトトギス”です。普段はウーバーでやったりしています。ショーパブの仕事が無くなってしまって。今日は渋谷を盛り上げようと思って来ました。明日も明後日も盛り上げに来ようと思っています。そのあたりに自転車を止めて今日はそろそろ帰ろうと思っています」

嵐の前の静けさなのか

 そして日付が変わる頃。駅へと向かう人もいれば、バーになだれ込む若者の姿も目立った。バニーガール姿の集団は、「エロイカラダ! Yeah!」と声をかけられ、嬉しそうに笑っていた。こうして渋谷ハロウィーンのカオスな“前夜祭”は更けていくのだった。

バニーガールに扮した集団も Ⓒ文藝春秋

 前夜祭だからこの程度で済んだのか、前夜祭なのにこれだけの騒ぎなのか。本番の31日がくるまでまだわからない。
 

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