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 17時を回ると渋谷のセンター街には多くの人が集まりつつあった。ハロウィーンの“前夜祭”だった週末に比べてもその人数は多い。群集の中には既にコスプレ姿も目立つ。

「止まるな」

 センター街の入り口には一人の男性が立っていた。警備員ではなさそうなのに、その手には「止まるな」と大書されたパネルがあった。

韓国の事故を受け、急遽作ったというパネルを掲げる有志の男性 Ⓒ文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

「韓国の事故を受けてこの看板を作ろうと思いました。2018年から渋谷ハロウィーンは来ていますが、皆モラルを持って楽しんで欲しいです」

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 5月にウクライナから避難してきたという女性は、「チェンソーマン」のキャラクター・マキマのコスプレをしていた。

「チェンソーマン」のマキマに扮したウクライナ人女性 Ⓒ文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

「韓国の事故は怖いと思います。渋谷でも起こるかもしれない。でも、せっかくの年に一度のお祭りなので、マナーを守って楽しめばいいと思います。人ごみもそうですが、露出が多い格好とかもね……」

 18時からは渋谷区から酒類の販売自粛が呼びかけられている。ところがセンター街のあちこちでは、店先にテキーラを並べる飲食店が見受けられた。

自粛要請の中、街頭でテキーラ販売に踏み切った飲食店も Ⓒ文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

 韓国の事故を知っていた若者は、「マナーを守って楽しむ」と口にしていた。しかし、中にはニュースを知らずに渋谷に来た者も多かった。いかにも歩きづらそうな牛のコスプレをした男性は韓国の事故と聞いても首をかしげていた。