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元警察官の証言に「嘘つけ、お前」 巡査殺人事件で45年逃亡…73歳“中核派”の異例尽くし初公判

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 51年前の事件が再び動き出した。警察官が殺害され、派出所が焼き打ちにあった渋谷暴動事件。殺人などの罪で起訴された過激派「中核派」の構成員、大坂正明被告(73)の公判が25日、東京地裁で始まった。司法担当記者の話。

「大坂被告はベージュのジャケットを羽織って、白髪交じりのメガネ姿で法廷に現れた。警察の手配写真に使われていたどんぐり眼のシャープな顔の面影はありませんでした」

 事件は沖縄が本土に復帰する直前の1971年に起きた。沖縄返還協定の批准に反対する中核派のデモ隊が、東京・渋谷の派出所を火炎瓶などで襲撃。新潟県警から派遣されていた中村恒雄巡査(当時21)が鉄パイプで殴られるなどして死亡した。警視庁は翌年、大坂被告らを殺人容疑で手配したが、広島市内のアジトで逮捕されるまで45年余り逃亡し続けた。

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大坂被告の逮捕は2017年だった ©時事通信社

「実行犯と認定され、再審請求中に73歳で死亡した星野文昭元受刑者の確定判決によれば、大坂被告は星野元受刑者の近くで『殺せ! 殺せ!』と叫んでいたとされます。ただ、当時は防犯カメラもなく、証拠の大半は目撃者の供述調書や法廷証言でした」(同前)