かけそば280円をプレハブ小屋で…最寄り駅から徒歩20分！　埼玉が誇る「ポツンと一軒そば屋」が名店すぎた

　次は「Bin丼」だ。つゆにくぐらせた鶏天をがぶりっ。肉は柔らかくコロモは厚めでつゆが沁みてうまい。ご飯にかかった甘いタレが食欲をそそる。

　同行した友人が食べたのは「天ぷらうどん」だ。天ぷらはさつまいも、長ネギのかき揚げで、おばちゃんがつゆをかけるとコロモがじわっと溶け出していく。こちらも柚子をぱらぱらと散らして登場した。

　このつゆはうどんにもよく合う絶品の味だ。うどんは茹で置きなので柔らかめだがつゆが沁みて、つるつると食べ進められる。こちらも友人はあっという間に完食であった。

「おばちゃんは好きなそば屋をやっていければ幸せよ」

　今回訪問したのは平日午前11時の開店直後だったので、他に客は来なかったが、昼はそこそこ忙しいという。「土日の午後は伊奈学の学生が部活後に来てくれるので、わいわいがやがや楽しいのよ」とおばちゃん。先生は来ないらしい。

　また、「卒業生が来てくれたりするのがすごく嬉しい」とおばちゃんはいう。「孫や子供はみんな立派に独立したし、おばちゃんは好きなそば屋をやっていければ幸せよ。まだまだがんばるわよ」と笑顔で言い放つ。伊奈町はおばちゃんを表彰した方がいいと真剣に思った次第である。再訪を約束して店を後にした。

　羽貫までの帰り道、なんだかほっこりした気分で裏路地を歩いていると、路傍の畑に収穫間近の春菊が植えられていた。ねぎや里芋なども収穫前。のどかな街並みが続いていた。

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